自分自身の経験とコミュニティの声から、子育て中のママ向けスクールを開校
ーー川端さん、本日はよろしくお願いいたします。まずは自己紹介からお願いできますでしょうか。
弊社はWeb制作の会社として、企業様や、個人事業主の方のWebサイトを作らせていただいています。加えて、子育て中のお母さんに特化したWeb制作、ライティング、子ども向けのプログラミングなどを学べるオンラインスクール「Muse Academy」を運営しています。
私自身は、大学卒業後にWeb制作会社に新卒で入ってディレクターをしていたのですが、結婚・出産を機に一度退職しました。
その後、別の業界も経験したのですが、やはりフレキシブルに働きやすいWeb業界に戻ろうと思ったんですね。ですが、再就職にかなり苦戦しまして…。
最終的に就職は諦めて、個人でフリーランスとしてWeb制作の仕事をやってみることにしました。ただ、7年前のことだったので、当時はまだフリーランスやリモートワークがいまのように浸透していなくて。
なかなか情報も入ってきませんし、難しさを感じている中で、Twitterを通じて同じような悩みを抱えていらっしゃるママさんから色々とご質問をいただくようになったんです。
そもそもどう仕事を取ればいいのかわからない、どんなスキルが必要かわからない…といった声を聞いて、まずはその方々をお誘いして、Web制作に興味があるママさんのオンラインコミュニティを作ってみたところ、すぐに100名ほどが集まったんです。
皆さん、そういう場所を求めてらっしゃったんだな、と感じたと同時に、そういった方々が新しいことを学ぼうと思ったときに、ちょうどいいスクールがないという声も聞くようになって。じゃあ、そういう場所を作ってみようか、というところがスタートでした。
ーーご自身の経験と周りの方々の声が、いまの姿につながっていったのですね。Muse Academyの特徴について、教えていただけますでしょうか。
スクールと言うとどうしても、課題や仮想案件をこなすだけになってしまい、実務で使えるスキルが身につきにくいということがあります。
例えばヒアリングや打ち合わせの進め方、見積もりの出し方といった実務的なことを知らずにいきなりフリーランスになっても、とても大変な思いをされることになってしまうんです。
そこでMuse Academyでは、在籍中に「実際の案件ではどう動くのか」「クライアントからはどういったご要望をいただくのか」といった教科書にしづらい部分まで、ある程度体験してから卒業していただきたいという思いがあります。
例えば、弊社に委託される案件の中で、納期に余裕があるものについては受講生や卒業生の方からやりたい方を募って、スクールのメンターが補助に付く形で納品までサポートする…といったことを試みています。
まだまだ小さなスクールで知名度も低いのですが、受講者の方からは「もっと早く知りたかった」というお声をいただいていて。
私たちもなるべくたくさんのママさんたちに知っていただきたいという思いもあったので、2021年10月には「自宅で働くママになれる!Muse Academyを1,000人のママへ届けたい!」というテーマで、クラウドファンディングも実施いたしました。
ーー無事に目標金額も達成されて、本当におめでとうございます。
忙しいママでも「これならできるかも」。「グロースX」導入の背景
ーー「グロースX」のことを知っていただいたのは、どういった背景だったのでしょうか?
私自身、マーケティングの知識があまりない状態で事業を立ち上げてしまったのですが、実際に経営をしていくうちに、このままではまずいなと感じていました。
そもそもWeb制作と、マーケティングは切っても切り離せないものです。「なぜそのデザインなのか」といった戦略的な提案をするにあたっては、マーケティングの知識がどうしても必要なんですね。
そうした背景から、体系的にマーケティングを学べるサービスを探していたところ、Growth Xさんの「グロースX」を見つけました。すごくやってみたいと思ったのですが、弊社は小さい会社で社員も私一人ですし、受講人数が足りなかったんですね。
けれど、よくよく考えたら、私が立ち上げたママさんコミュニティの中にも勉強したい人がいるはずだなと思ったんです。そこでGrowth Xさんに相談したところ、前例はないけれども、チームという形で弊社が取りまとめをする形でコミュニティの皆さまにお声がけしてみよう、ということになりました。
そして実際に受講者を募ったところ、あっという間に30人近くの方が手を挙げてくださって、無事に受講をスタートすることになりました。
ーー川端さんご自身は、「グロースX」のどういったところをご覧になって「導入したい」と思ってくださったのでしょうか。
まず第一に、マーケティングですばらしい結果を出されている会社さんが運営されているということで、教材に対する安心感がありました。
加えて、子育て中のママさんたちにとっては、新しいことを学ぶにあたってその時間が確保できるか、ということが一番の不安なんです。その点、例えば動画学習だと、子どもを育てながらしっかり30分、1時間の授業を見る…というのはとてもハードルが高くて。
ですので、グロースXがスマホアプリで好きな時間に勉強できることはとても後押しになりました。「これならできるかも」という気持ちにさせていただけたことが大きかったです。
ーー実際の受講者の方は、皆さんママさんということですが、職種としてはどういった方がいらっしゃいますか?
一番多いのはWebデザイナーの方です。特にWebデザインや制作関連の仕事をしていると、「広告の出稿までお願いしたい」「効果測定まで見てほしい」といった形で、デジタル周りの業務を一緒にお願いされるパターンは多いので。そうした際に、付け焼き刃ではなく自信を持って「できます」と言えるスキルを身につけたい、という方が多かったです。
他にも広報やエンジニアの方など、様々な職種の方がいらっしゃいますね。仕事をする上でマーケティングの知識が必要になってきた方もいれば、すぐに業務で使うわけではないけれども、提案の幅を広げて、ランクアップを目指したいような方もいらっしゃいました。
「もくもく会」「朝活・夜活」で時間を確保しながらコミュニティで学習を推進
ーー実際に受講をスタートされてからは、川端さんがかなりコミュニティを盛り上げて学習をリードしてくださったなと感じています。
そもそも皆さん会社から「やってね」と言われたわけではなく、自ら手を挙げてくださった本当に学習意欲が高い方々なので、ポテンシャルがとても高かったと思います。
ただ、どうしても長い期間続けているとモチベーションにムラも出てきますし、途中で詰まってしまうこともありますよね。
それは自分自身も感じていたので、「それはあなただけじゃないよ」「遅れても大丈夫だから、完走しよう」といった発信は続けていました。
ただ、皆さん本当に学習への意欲が高く、色々と工夫して進めてくださっていました。デジタルに強い方も多いので、「Notionを使ってまとめ作ってみたよ」「スプレッドシートで進捗管理してるよ」といった形で、学習のやり方やナレッジをお互いにシェアすることで、モチベーションが高まっていたと思います。
*Notionで学習をまとめた受講者の島田さんのインタビュー記事はこちら
【受講者様に「10の質問」】
未経験でも、フリーランスでWebマーケティング業務を受注できた
朝活 × Notionまとめで積み重ねたグロースX活用術
ーー他にも、「もくもく会」など皆さんで一緒に学習を進める機会も作っていただいていましたよね。
皆さんオンラインウェビナー等には日常的に参加されていて、慣れている方が多かったので、もくもく会だけではなく朝活、夜活という形でも、オンラインでつながって学習を進める機会はよく作っていました。
基本的には各自で自習をしているような感じですが、途中で「いまここをやってます」「さっきのテスト難しかったね」といった話を少ししたりして、本当に学校の自習室のような感じでしたね。
やはり皆さん忙しいので、「時間ができたらやろう」と思ってもなかなか難しく、ずるずる先になってしまいがちですが、予定が入ってしまえば時間が確保できるので良かったと思います。
ーー「グロースX」を実際に使ってみて、「ここが良い」と思われたところはありますか?
特に「会話形式」で進んでいくことが良かったです。記憶に残りやすいですし、本当に会社で詳しい先輩に教えてもらってるような感覚で進められるので。
ただテキストを読むだけ、もしくは動画で一方的に先生が話しているのを聞いているだけ、といった形式と比較して、知識が定着しやすかったと思います。
専門知識が身に付き、マーケティング領域の業務受注・単価のアップにもつながった
ーー「グロースX」の学習の成果として、川端さんご自身はどのようなことを感じられますか?
学習を進めながら、それを自社のサービスに都度都度当てはめて考えることができたことが一番大きかったと思っています。例えば、次のユーザーアンケートはこうしよう、広告はどの媒体に出してどう検証しよう、といった形で具体的に考えることができました。
さらに、知識が増えたことによって、以前はほぼ「丸投げ状態」になっていた広告運用なども、いただいた報告をしっかり理解した上で、的確な質問や提案ができるようになったと感じています。
まだまだこれからではありますが、一番最初にやりたかったことが徐々にできつつあるな、と感じています。
ーー受講者の皆さんからは、学習の成果についてどのようなお話を聞かれていますか?
色々な成果をお聞きしています。例えば、今までにはなかったマーケティングの仕事を新しく受注できた、社内のマーケターさんと共通の言語ができたことでしっかり意見交換ができるようになった、専門知識がついたことでマーケティング関連の記事や書籍を理解できるようになった、といったことです。
また、デザインとマーケティング、両方の提案が一緒にできるようになったことで、単価の向上につながった方もいらっしゃいます。
これは弊社でも同様で、新しくWeb制作についてご相談いただいたお客様のヒアリングをする際に、マーケティングでもお手伝いできることがあれば積極的にご提案できるようになりました。実際にご発注をいただいて、全体のお見積り金額が上がったケースもあります。
ーー素晴らしいですね!
私も発注者側でもあるので、その目線からお話すると、業務を外部に委託するにもどうしてもコミュニケーションコストがかかるので、ワンストップでやっていただけるのはありがたいんです。そういった方々が育っているということは、個人的にもすごく嬉しいなと感じています。
子育てママの支援を通じて、子どもが「生まれてきて良かった」と思える社会をつくる
ーーフィリアンさんとして、これからはどのような挑戦を見据えていらっしゃるのでしょうか。
弊社はいまはWeb制作を受託していますが、ブランディングやマーケティングを含めて、トータルでお客様のお商売をサポートできるような会社に成長できたらなと思っています。
また個人的には、地方創生の領域に踏み込んでいきたいと考えています。これはMuse Academyとも連動しているのですが、例えば移住者を募集している地方自治体さんと一緒に、新しいことをしていきたいなと。
Muse Academyは現状、完全オンラインのスクールですが、これからはリアルの世界にも入り込んでいきたいと思っていて。コロナ渦以前から考えていたのですが、例えば運転免許の合宿のような形で、地方で暮らしながらスキルを身につける。それを子連れで実現できるようなサービスを提供したいんです。
ママさんたちの大きな悩みとして、「日々の家事や育児で学習が分断してしまう」ということがあります。私自身もそれを感じているので、まずはとにかく家事から解放される。例えば1週間、3食おやつ付きで勉強ができる、といった形が実現できたら最高ですよね。
全国どこでもリモートで仕事ができるスキルがあれば、移住もし放題ですし、子どもを連れて色々な場所を訪れながらワーケーションするようなスタイルも実現できますよね。それを叶う人材を育てることが、Muse Academyの次のステップかなと思っています。
ーーとても素敵ですね!川端さんご自身がここまでこの領域に思いを持たれている背景には、どういったことがあるのですか?
よく「なんでお母さんなんですか?」という質問をいただくのですが、お母さんの支援ももちろんですが、実は一番やりたいのは子どもたちの支援なんです。子どもたちが「生まれてきて良かった」と思えるような社会をつくりたいという気持ちがすごくあります。
特にいまの日本は、教育だったり、年金だったり、子どもたちが決して希望を持ちやすい国とは言えないのかなと思っていて。
それを変えるために、教育も重要ですが、一番影響力が強いのは「家族」ではないかなと。中でもほとんどの家庭では、子どもと接する時間が一番長いのはお母さんですよね。そのお母さんが、イキイキと自分がやりたいことに挑戦していることが、とても大事だと思います。
子育てを理由にやりたいことや学ぶことを諦めるのは、お母さん自身にとってももったいないですし、子どもたちにイキイキと生きる自分を見せるチャンスを自ら潰してしまっているのかなと。
お母さんが日常的に、常に新しいことにチャレンジしていたら、子どもたちもきっと「そういうものだ」と思って育つのではないでしょうか。
学び続けることが当たり前で、挑戦し続けることは楽しいんだよ、ということを家庭から子どもたちに伝えていくことで、社会は徐々に明るくなっていくのではないか。そのために、私自身も引き続きがんばっていきたいと思っています。
ーー川端さん、とても素敵なお話をありがとうございました!
(インタビューご協力:株式会社フィリアン 様)
【受講者インタビュー】