ジョブローテーションによる”知識のリセット”を減らすために必要だった体系的なマーケティング学習
――まずは貴社のサービスについて教えてください。
日本市場における自動車販売の領域で、顧客データなどを活用しながらオンライン・オフラインを繋ぎ、顧客体験をより良くし、お客様のロイヤリティを高めていく業務を担当しています。
具体的には、「マイスバル」や「SUBAROAD(スバロード)」というオーナー向けアプリの企画開発と運用、顧客データを活用したお客様の来店促進、そしてディーラーの販売・商談の支援をIT・デジタル技術を活用しながら推進しています。
所属しているカスタマーエクスペリエンスグループは、顧客体験を横串で通したチームです。集客してリードを獲得するところから、実際にお客様に購入いただいてお付き合いしていくところまでを含みます。自動車はご購入いただいた後もアフターサポートがあり関係性が続く商材でもありますので、お客様により良い体験をおとどけできるよう、デジタルデータをどう活用できるかをチーム全体で追求しています。
チームメンバーは、中途で入社した専門性をもったメンバーもいますが、多くは社内のジョブローテーションで今の業務を担当しています。ですから、専門知識のバックボーンが無い状態でチームに異動してから、データ活用などの業務に携わっています。チームとして力を上げていくためにも、そういったメンバーの育成が非常に重要なポイントだと考えています。
――マーケティング研修を導入しようと思われた背景を教えて下さい。
ジョブローテーションのサイクルを考えると、おおよそ3年程度で異動になります。ですから、新たに配属された部署で新たな知識を身につけても、その知識を部署に蓄積していくことが非常に難しいんですよね。一方で、デジタル時代におけるマーケティングの重要度が高まっている中、しっかりとしたスキルを蓄積していくことが市場での競争力にも繋がります。
もちろん、各メンバーごとに担当している業務に関して情報収集や学習もしていますが、一部の知識が抜け落ちていたり、理解しきれていない部分があったり、といった事態も起きていました。
マーケティングを体系立てて学ぶことで「実はこういうことだったのか」「裏側にはこういった仕掛けがあったのか」「もっとこうすればよかったんだ」という前向きな気付きに繋がり、知識の穴も塞がれていくと考えているんです。そのため、体系的に学べる機会を確保していきたいという思いから様々なサービスを検討し、グロースXを選びました。
基礎知識・共通認識の土台ができたことで、会話のスピードや意思疎通のしやすさが圧倒的に進化
――なぜグロースXを選ばれたのでしょうか?
グロースXは、学習方法が非常に効率的であることが魅力に感じました。どうしても毎日の業務で忙しいので、半日や1日の時間を確保することが困難です。併せて、マーケティングのような膨大な知識を1日で全て頭に入れられるかというと、なかなか難しいですよね。一気に学習しても、すぐに忘れてしまいます。
でもグロースXは、1日10分、移動中やメンバーの都合に併せて勉強ができて、知識を積み重ねていける。そして定期的に振り返る会があって、メンバー内にしっかり知識を浸透させられる。その効率の良さと効果の高さをひしひしと感じました。
――グロースXを導入して、どんな効果がありましたか?
まず、デジタル領域に関する基礎知識がつき、会話のスピードや意思疎通のしやすさが大きく改善しました。1ヶ月に1回行う共通言語MTGは、メンバー同士の意思疎通を図り、新たな発見のための非常に良い機会になっています。普段、自分たちが関わっていない領域に対しても議論を進めていきますから、担当者が気づいていなかったポイントに、他メンバーの指摘で気付くことがあるんです。
たとえばF2転換率という点で考えますと、「このキーワードは、SUBARUで考えるとどの過程が該当するのか」という議論をした際に、実は細部まではあまり把握できていないと分かった、なんてこともありました。
こういった議論は、一つの部署で完結するものではありません。そもそもマーケティングは一繋ぎです。例えば、宣伝部門だけで完結せず、販促やユーザー対応をする部署なども関わる必要があります。もっとも、企業規模が大きい組織では、どうしても部署が縦割りになってしまいがちで、横軸での連携が難しい場合もあります。その点では、共通言語MTGで部署を超えて、色々な視点で議論がどんどん盛り上がっていくのを見ていると「導入して良かったな」と感じます。
受講者からも、部門間の繋がりが強くなった、という声が出ています。学んだ基礎が一緒という安定感と安心感があるからこそ、知識をベースにした議論ができ、コミュニケーションのしやすさに繋がっているのではないでしょうか。
また、いわゆる「デジタル時代のマーケティング」に対する抵抗感がどんどん薄くなっているように感じています。
グロースXを始める前は、デジタル時代のマーケティングの知識は一部のメンバーに限られた領域で「自分たちには関係ない」と捉えていたメンバーもいました。どうしても、わからないこと・知らないものって遠ざけてしまいがちですよね。
一方で、グロースXを導入して3期目に入り、国内営業本部では数十人がすでに学習を完了しています。国内営業本部全体が120名程度の組織ですので、その中で知識が統一化されたメンバーがどんどん増えてきて、デジタル時代のマーケティングに抵抗感が薄くなっているようです。グロースXで学習した内容を指して「こんなことができないか」と提案をくれるメンバーも増えてきていますね。
併せて、外部のパートナーさんとの付き合い方・依頼の精度も高まっていますね。日常的に多くの業務を担当していますから、どうしても知識が足りない部分がありました。わからないが故に、外部パートナーの方からご提案いただいた内容を、わからないまま受け入れるというケースは多々ありました。
知識や経験がついてくると、ご提案いただいた内容について適切なフィードバックができるようになり、もう一段二段、アイデアを煮詰めていくことができるんです。外部パートナーの力を借りながら、より深いディスカッションをして、マーケティング施策を突き詰めていく点においても、体系的な基礎知識を身につけた意味合いがあると感じています。
――グロースXを受講されているメンバーは、どのように学習を進めていますか?
受講しているメンバー同士で学習進捗を確認できますので、モチベーションが高まったという声だけでなく、焦りにもつながったようです。進捗が芳しくないメンバーには私からも声掛けをしましたが、「忙しいのに!!」という迷惑そうな反応よりも、「すみません!」とすぐに反省に繋げてくれたことは、グロースX特有の「仕組み」の成果だなと感じています。
学習進捗が数字で見えてしまって、周りの忙しいメンバーもしっかりと勉強していることが明覚になってしまうと、言い訳できないんですよね。明確に勉強すべきものが決まっていて、順を追って学べばいいという安心感もあります。メンバーが好きなコンテンツを選ぶのではなく、全員揃って同じコンテンツを学習しますから、全員が平等なんです。ですので、できていないことを指摘されてしまうと、反省するしかない、とも言えます笑。
もちろんメンバーによって細かい担当業務は異なりますが、自分の担当領域に当てはめてみるとどうなるんだろう、と考えられたことで思考の幅が広がったと思います。また、3期目に入っていますから、かつては業務外だったけれども今は業務で直接関わるようになった、などの変化も起きてきています。
グロースXを受講しているメンバーは、第1期目は比較的中堅以上、2期目から徐々に若手メンバーにも幅を広げています。社内である程度”上から下まで”全体のレベルを上げていきたい、という思いからこういったメンバー選定になりました。組織全体として、上から下まで同じ知識・経験で意思疎通ができるように段階的な導入を進めています。
「デジタル時代のマーケティング」の知識はどの業界・どの部署にも必要
――他の方にグロースXをお勧めできる点をあげるとしたら、どういった点でしょうか?
部署に囚われることなく、どの業界・どの部署でも必要な学習なんじゃないかなと思います。かなり網羅的に学習できますし、デジタル時代のマーケティングに限らず、経営戦略や会計的な話も出てきます。この領域は、ビジネスに関わる人であれば誰でも身につけておかなければいけない知識ですよね。BtoC・BtoB問わずに、間違いなくデジタルの時代を生き抜くためにはインプットすべき知識なんじゃないかなと思います。
今の世の中を見てみると、何かにつけてデジタルは絶対に絡んできます。どれだけアナログ中心な業界であっても、デジタルに全く取り組まない、という判断はあり得ません。
もちろん、これまで成功してきた従来のやり方が良いという意見も往々にしてあるとは思いますが、変化し続ける努力と、変化を知る努力は必ず必要だと思います。変化の幅を理解した上で取り入れない、という判断は良いと思いますが、単に拒否しているだけではいけません。今の自分たちが置かれた状況における正しい判断のためにも、知識や視野を広げるためにも、非常に有効な手段の一つだと思いますよ。
――貴社の今後の取り組みについて、教えてください。
グロースXで学習した内容をベースに、自分たち同士で教え合うことができるような組織作りを目指していきたいです。
ジョブローテーションによってどんどん人の入れ替わりが起こりますので、新たなメンバーにグロースXを受けてもらい基礎を固めていく。その次のステップとして、どう自社の業務に合わせて学んだことを発展させていくのか、知識の伝承という面も含めて、自分たちで考えられる組織になっていきたいですね。
組織と人が変わり続けていく以上、知識や経験は放っておくとゼロになってしまうんです。部署に知識を蓄えていく、その上で戦略やノウハウに落とし込んでいくことに意識的に取り組んで行かないと、いつまで経っても基礎から抜け出せません。メンバーそれぞれがスキルを高めつつ、そうした取り組みで得られた知見が組織に残り、発展し続けていく。そうでないと、これからのマーケティング活動にはついていけないと思います。そのための学びの必要性は、これからも訴えていきたいですし、私自身も大切にしていきたいですね。
今回は貴重なお話をありがとうございました!