株式会社ルネサンス

「ミーティングが変わった」「数字は昨年を上回る」ルネサンスのマーケティング改革に繋がった共通言語による土台作り

顧客とのコミュニケーション全体をデザインするために必要だったのがマーケティングの基礎知識

ルネサンス_宮路様マーケティングデザイン部 次長 宮路さん

 ――まずは貴社のサービスについて教えてください。

宮路さん

株式会社ルネサンスは「生きがい創造企業」という企業理念を掲げて、主にスポーツクラブの運営を営んでいる会社です。今ではスポーツクラブの運営というBtoC事業から派生して、「健康づくり」というテーマで企業や自治体の皆様をご支援したり、介護予防の事業を始めたりするなど、BtoB,BtoG事業も展開しています。

ちなみに、私が所属しているマーケティング推進本部マーケティングデザイン部では、BtoB領域 のマーケティング全般を担当しています。

 

武藤さん

マーケティング推進本部は2023年春に立ち上げた組織です。いくつかある事業を、マーケティング思考を通して支援することを目的に立ち上がりました。スポーツクラブ事業の販促部門や企画部門・プログラム開発部門はもちろん、施設開発部門やITインフラ部門、人事部などマーケティング思考を持つ必要がある部署を統括しています。推進本部は、こういった部門を超えた全社的なマーケティング思考の浸透と支援も担っています。マーケティングはマーケティングの部署で、ということではなく、あくまでも各事業部と”一緒に”議論をして背中を押したり引っ張ったり、共に進める・作り上げていく、という体制です。

元々はヘルスケア営業企画部という部署から業務が始まり、その後マーケティング推進本部の立ち上げに繋がりました。部署の立ち上げに伴い「マーケティング」というワードを入れる以上は、しっかりとマーケティングを担う組織にしていきたい、という想いがありました。

マーケティングデザイン部という名称にも、様々な想いがあるんですよ。過去の取り組みが「How」に寄りすぎてしまっていたので、もっと施策を関連付けていきたい、という意思が込められています。もっと全体像を捉えて、広義と狭義のマーケティングをミックスしてお客様に一貫したメッセージを届けられるように、そういった施策のデザインもできるようになっていきたい、という想いを込めて「マーケティングデザイン部」という部署名にしました。

 

 ――マーケティング研修を導入しようと思われた背景を教えて下さい。

ルネサンス_武藤様_常務執行役員 マーケティング推進本部 本部長 武藤さん

武藤さん

コロナ禍で営業体制が大きく変わったことが要因の一つです。

外出を控えるようになり、店舗を中心に展開している事業は休業を余儀なくされてしまいました。

これはなんとかせねば、ということでオンラインサービスを軸にした新規事業を立ち上げました。オンラインでヨガやトレーニングの指導を受けられる、というサービスです。オンラインサービスが一気に普及した時期だったということもあり、今でも順調に推移しています。この時に、デジタルマーケティングの知見が社内に貯まり始めました。

そこで、この知見を社内の他の事業にも活かせないか、と考えた際にBtoB事業が対象に挙がりました。コロナ前からBtoB事業は行っていたのですが、コロナ禍では営業もサービスの納品もリアルで行えなくなりましたので、これまでのやり方をデジタル施策に大きく変えていく必要がありました。私自身、マーケティング本部の前にスポーツクラブ事業の営業部長を約10年ほど担当していましたが、デジタルは、やや未知の領域でした。

BtoB事業の営業体制を支援し始めた際に、最初に取り掛かったのは「仕組み作り」でした。SFAやMAを導入し、情報連携できる体制を整えました。ただ、こうしたツールを使いこなすところまで、なかなか行きつけませんでした。仕組みだけ導入しても、現場の営業メンバーたちとはそれを何のために使うのかというマーケティングの全体像を共有できておらず、SFAやMAを使いこなすことができていませんでした。

そこで、もうゼロからマーケティングを学習しなければいけない、と決意し、とにかく浴びるようにマーケティングの知識に触れました。THE MODELやカスタマーサクセスに関する書籍を読んだり様々な情報に触れ、顧客は誰なのか、顧客の価値は何かについて、一貫して整理されている状態が大事なのだ、と気づきました。

 

宮路さん

僕は、元々店舗でトレーナーをやっていました。10年ほど前から、BtoC事業でデジタル企画や営業企画を担当していました。そこからBtoBの領域に来ましたが、最初はBtoB営業とは何かは全くわかっていませんでした。

ただ、顧客側の立場で様々なSaaSの企業様とお付き合いするようになり、BtoB独特の営業体制やカスタマーサクセスの支援を身を持って体験することができたんです。自分が経験していること自体を自社のBtoB営業に当てはめたときに、自社の体制はどうだろう?と考えてみると、まだまだできていないことがありました。これを体系立ててちゃんとやっていけば、もっと成果が出るのではないか、とは思っていましたね。

 

グロースXの導入でマーケティングが社内に浸透した

ルネサンス_武藤様

 ――なぜグロースXを選ばれたのでしょうか?

宮路さん

アプリをノーコードで運用できるヤプリさんのセミナーで、グロースXを知ったのが最初のきっかけでした。

セミナーに参加した際にグロースXの講演を聞き、マーケター育成はBtoB領域もBtoC領域も必要だという話題になっていたんです。非常に印象深かったことを覚えています。

その後、マーケティングデザイン部を立ち上げて全社的にマーケティングを体系立てて取り組もう、という組織構築の話になった際、改めてグロースXの話を思い出したんです。マーケティングはとても大事ですが、僕も含めて社内に知見がなかった。ここはしっかり外部の知見・力を使っていこうという話になりまして、グロースXを導入することにしました。

マーケティング研修を内製する企業さんもいると思いますが、我々が外部に頼ろうと考えた一番の要因は、全体像が分からなかったことです。世の中にはツールもたくさんありますし、検索すれば色々な知識も手に入ります。ただ、我々はこれまでの業務を俯瞰した時に、これはなぜやっているのか、誰のためにやっているのか、どんな価値があるのか、という議論ができていなかったんです。自分自身も恥ずかしながらそういう点があったので、より大きな視点でのマーケティングといいますか、そのような考え方が必要だなと感じました。

 

武藤さん

気をつけたのが、導入の仕方でした。BtoB事業を担当している副社長から口説きました。副社長はもちろん現場で起こっていることはご存知で、現場が頑張っていることがもっと効率的に進むのであれば、という視点で噛み砕きながらマーケティングの重要性を説き、ご理解いただきました。非常にアグレッシブに物事を進める方なので、腹落ちしていないともちろん進みませんが、ご理解いただいてからは、かなりぐっと施策が進んだ感覚がありました。

もう一つ、企業文化全体が「顧客志向」であることもスムーズな導入の要因かもしれません。実は先立って、BtoB事業のマネジャー層と一緒にカスタマージャーニーの整理をするワークショップを週に2回ほど行っていました。結構時間をかけて議論をしてすり合わせて、ということを重ねていたこともあり、顧客を中心に施策を設計していくべきだ、という思考が浸透していたんでしょう。グロースXを導入する、という話を彼らにした際には、皆が賛成をしてくれました。こういった形で、マネージャー層から巻き込みつつ、徐々に広げて行った、という流れですね。

 

 ――グロースXを導入して、どんな効果がありましたか?

宮路さん

まず、ミーティングが変わりました。部門を越えて、色んな事を共有し、議論できるようになっていますね。

これまではどうしても縦割りの部門ごとに情報が閉じていましたが、今ではマーケティング部と営業部で共同のミーティングを毎週開催しています。そのミーティングで、営業現場ではこんなことが起きていて、マーケティングではこんなコンテンツを計画している、といった情報を共有しています。他にも、お客様により価値をお届けするには、こんなことはできないか?といった企画の検討も進んでいます。

ルネサンス様_共通言語mtgワークシート例_20241022

【共通言語化mtg ワークシートの一例:事業のポジショニング分析】

 

宮路さん

その検討も共通理解・共通言語のもとで進めているので、お互いの信頼感の元に進められている印象が強いです。

これまで営業部からは「マーケチームはアルファベット3文字ばっかり言っていて訳がわからない」「コンテンツって何のためにあるの?」「ウェビナーの活用方法なんてわからん」というイメージもあったそうなんですが、そういったワードや原理・原則を理解することで「こっちの方向に正しく進んでいくんだ」「そこは信頼して進めよう」といった絆が生まれています。「一緒にやろう」という協力関係を築けたことで、システムや施策の使い方もスムーズかつ効率的になってきました。

e-ラーニングは個人で取り組み、それに加えて月1回の共通言語MTGを重ねることで、受講者同士の意思が確実に擦り合わさってます。定義やレベル感が揃ってくると、自信を持って相手に提案したり意見を伝えられるようにもなります

これによって工数が削減できて、一番大切な「お客様に向き合うこと」「顧客志向で考えること」に時間を使うことができるようになってきています。

ちなみに、本社勤務のメンバーは在宅勤務が増えています。これまでは東京本社の近くに住むメンバーが本社勤務だったんですが、今では地方に住むメンバーでも優秀な者はリモート体制で本社勤務できるようになりました。ただ、日常的に会話できないメンバーとの関係性構築は一つの課題になっていました。そこで、毎朝グロースXの話題を出すことで「同じものについて議論し合える」という環境をつくることができ、さらに価値観がそろうことでチーム力向上にも繋がっていると感じています。

 

武藤さん

また、グロースXの導入は実績にも繋がっているんです。

例えば、コンバージョン数は安定的に取れるようになり、昨年は1,500件ほどのコンバージョン成約 を獲得し、今年はそれを上回るペースで進捗できています。

もう一つ面白い例もあります。「お客様視点」という意味で、これまでは顧客志向なんだからリアルで会いにいかないと!という思考が根付いている営業がいたんですが、顧客が求めていることを突き詰めた結果、オンラインでも十分にその役割を担うことができることが分かりました。全国各地へ飛び回らずとも済むようになり、メンバーの交通費が大幅に減った、という効果もありました(笑)。

だから、グロースXは、誰に受講してもらうか、という点も大きなポイントです。誰が受講すれば内容を一番拡散できるのか、という点で常に議論を重ねています。拡散力や牽引力、という意味合いから、マネジメント層を中心に受講し、少しずつプレイヤー層に広げています。日常的にマネジメント層からメンバーに「自分の店舗の差別化要素って何だろう」「お客様にお届けできる価値ってなんだろう」と問い続けていくことで、その価値や考え方は徐々にひろがっていると感じていますね。

 

うまく外部に頼るためにも、全体を網羅した最低限のマーケティング知識が必須

 ―― 他の方にグロースXをお勧めできる点をあげるとしたら、どういった点でしょうか?

ルネサンス_宮路様_

宮路さん

マーケティングに関する高い専門知識を兼ね備えた人がいない企業さんには、絶対必要なんじゃないかと思います。

加えて、専門的な施策は外部に協力を仰ぐこともできますが、何も知識がない状態では、その人が言っている内容が正しいかわかりません。はい、って言うことしかできません。

ですから、ゼネラリストという表現になるかわかりませんが、広い視点を持ちマーケティングの概略をだいたい理解し、外部の方と会話できる状態になることは非常に重要だと思います。

今日は弊社の変化についてご紹介させていただきました。マーケティングの知識やナレッジをインストールすれば、仕事のアウトプットの質が大きく変わったと実感しています。ですので、マーケティングというと難しく感じてしまう方もいるかもしれませんが、「誰に」「何を」「どうやって」というお客様に対する基本、事業の基礎を学ぶという、本来はビジネスの根本になる部分だと思っています。その意味では、ビジネスパーソンに必要なことを学べるとも考えています。

 

武藤さん

学習は、毎日コツコツやる人と、ある程度まとめてやる人にわかれるので、定期的にそれぞれフォローしていくのがお勧めです。併せて、各部門ごとに協力者を作って、研修全体を管理する立場の方からだけではなく、現場からも受講者に声がけしていくと良いですよ。基本的には優しくフォローしていますが、進捗が遅い方には場合によってはちょっと強めに伝えていく、という緩急も大切です。

 

 ――貴社の今後の取り組みについて、教えてください。

武藤さん

どの部門にどこまでマーケティング思考を浸透させられるかが、事業のさらなる成長に影響しているなと感じます。

今でも多くのメンバーが受講はしていますが、まだまだ社内会議の中で「この事業部の方にもっとマーケティングも理解してもらえたら、効率的に、クオリティも上がっていくのに」と感じてしまうシーンがあります。知識を広げていくことに併せて、どういう風にサポートしながら、どう一緒に進め、どうやって価値を作っていくのか。そして、本音で議論し合えるメンバーを、どんどん増やしていきたいですね。特に新規事業部や若手メンバーなど、中長期的に強化していきたい層もあります。

マーケティングって本当に幅が広いので、どれか1つだけ100点よりも、全体を強化して各項目を満遍なく60点になるような、広義で理解し合えるメンバーを育成していきたいですね。

 

今回は貴重なお話をありがとうございました!

 

株式会社ルネサンス様

https://www.s-renaissance.co.jp/