「SEO一辺倒」からの脱却を目指して「グロース X マーケティング編」を導入
―― 御社は、鈴木さんも含めた11名で受講してくださっています。受講メンバーはどのような構成になっていますか?
マーケティング部門に所属している5名を中心に、営業担当者や広報担当者を含む部門横断チームで学習を進めています。マーケティングの考え方や方法論を身につけることで、より効果的な業務遂行につながると考えられるメンバーに声をかけました。
―― 導入くださった理由は、御社が抱えていた課題解決するためだったと伺いました。導入に至った経緯について、あらためてお聞かせください。
弊社が展開するサービスは、いずれもオンラインで集客した顧客企業に対し、一社一社に合わせた価値を提供するというスタイルです。オフィス仲介事業は「officee」、オフィス内装事業は「naisoo.jp」、オフィス家具EC事業は「Kagg.jp」と、それぞれでサービスサイトを運営しています。
ですから、これまではビジネスの入口となるWEB集客にとにかく注力してきました。サイト構造を最適化し、SEO施策を重ねたことで、今では狙った検索ワードで安定的に検索結果上位に表示されるようになりました。
一方で近年、社内にはある問題が浮上してきました。それは、「SEOでできることは、ほとんどやりきってしまった」ということです。このまま何の手も打たなければ、近い将来、当社のビジネス成長は頭打ちを迎えてしまう。SEO施策以外にビジネス成長を実現する手段を講じることが急務だが、社内にはノウハウが全くない――そんな危機的な状況でした。
コンサルティングを含め、社外の知見・ノウハウを取り入れる方法をあれこれと検討していたときに、「グロース X マーケティング編」の存在を知りました。たしか、Facebook広告を見たと記憶しています。
―― さまざまな選択肢があった中で、「グロース X マーケティング編」を選んでくださった決め手はどのようなことだったのでしょうか。
スマートフォンで学習が進められる点は魅力的でした。これなら、ゴロンと横になりながら学ぶこともできるし、机に向かって学ぶこともできる。受講者それぞれの学び方にアジャストできる仕組みが、無理なく学習を継続することにつながると考えたんです。せっかく学習の機会があっても、メンバーが実際に活用しなければまったく意味がありませんからね。
また、コンテンツ開発に著名なマーケターが関わっているのも魅力的で、“一丁目一番地”の知識を習得するのにうってつけだと思いました。マーケティングリテラシーが低い企業だけでなく、デジタルマーケティングに精通して成果を出している企業が導入しているという実績も、「たしかな知識が身につけられそうだ」と確信を深めることにつながりました。
実は、今後のビジネス成長を実現する手立てを得る以外に、導入の成果としてもう一つ期待していたことがあって。それは、弊社に根づいている“縦割り構造”からの脱却です。弊社のサービスサイト(officee、naisoo.jp、Kagg.jp)はそれぞれ別々に運用しており、担当者の知識はもちろん、使っている用語すらバラバラでした。マーケティングの体系的な知識を事業横断で共有できれば、より事業間のシナジー効果を視野に入れた強固な戦略が立てられるはず。「グロース X マーケティング編」の学習効果の一つである「共通言語化」も、導入を決めるに至った大きな要因でした。
―― 導入に際して障壁はありましたか?たとえば、社内から反対意見が出たなど…。
結論から申し上げると、特に反対意見はありませんでした。社内の承認を取る上で危惧していたのは、「なぜマーケティングだけを取り立てて学ぶ必要があるのか?」という指摘を受けるのではないか、ということです。
ただ先ほどお伝えしたとおり、弊社内にはSEO以外の武器がなく、何らかの手を打たなければビジネス成長が頭打ちになるという危機的な状況でした。今振り返ると、このマーケティング課題が全社の共通認識となっていたため、反対意見が出なかったのだと思います。この経験から、あらためて全社で共通認識を持っていることが大切なのだと実感しました。
マーケティングの観点から事業方針を軌道修正
―― 学習開始から、まもなく1年を迎えようとしています(2022年6月現在)。“完走”を前に、学習の手応えや、これまでに得られた成果について教えてください。
わかってはいたことですが、私たちにいかにマーケティングの知識が欠けていたのかを思い知らされました。マーケティングの手法はじつに多彩で、私たちが把握・実践できていたのは、そのごく一部に過ぎなかった。逆に、まだまだやれることがあるなと希望を持つこともできました。
部門横断で共通言語を得る、という目標にも徐々に近づいています。たとえば、今なら「カスタマージャーニーマップ」と聞けば受講メンバー全員が同じものをイメージできます。マーケティングに限らず、言葉の認識のズレによって生まれるコミュニケーションの齟齬はビジネスの現場の“あるある”であり、円滑な業務進行を阻害するばかりか、重大な損失にもつながりかねません。こうして足並みを揃えることの大切さと効果を実感しています。
―― 学びが実践・実務につながった印象的なエピソードはありますか?
アプリでの学習に倣い、顧客構造を分析する「階段図」をつくったところ、弊社はF2転換率が極端に低く、売上の大部分をF3・4・5の顧客が占めていることが浮き彫りになりました。これまでは、前回の成約から時間が経っている顧客や複数回利用いただいている顧客にアプローチすることが多かったのですが、今後は初回の成約から1年以内の顧客に向けたアプローチにも力を入れるという方針を固めました。
また、これまでやっていなかった新しい施策として、アフィリエイト広告を始めました。実はそれほど期待していなかったのですが、「Kagg.jp」で活用してみたところ、月あたり600万円の売上につながりました。想定以上の成果です。弊社の売上全体からみればほんの数%ではありますが、「グロース X マーケティング編」導入にかかった費用はあっという間に回収できました(笑)。
インプットだけでなくアウトプットを重視したことが、学習成果につながった
―― アプリでのインプットだけではなく、学習したことをもとにアウトプットすることを大事にされていると伺いました。
毎月、最初の20日間をインプットに、残りの10日間をアウトプット(学んだことの振り返りや、学んだことを踏まえた業務改善など)に充てています。アプリを導入して2ヵ月ほどは、30日間まるごとインプットに充て、翌月1週目にアウトプットするというサイクルにしていたのですが、それだと毎月初に学習の進捗がストップしてしまうんですよね。それを避けるため、その月のうちにアウトプットまで完了するサイクルに変えました。
アウトプットの目的は、学びを受講メンバー全員で共有することで、知識の定着を図ることです。担当を割り振ってその月の学習内容を資料にまとめ、発表し合うという振り返りを毎月欠かさず行っています。
それに加えて、その月の学習テーマによっては、私からメンバーに具体的な課題を投げかけて取り組んでもらうこともありました。たとえば、「UI/UX」を学んだ月には、officee、naisoo.jp、Kagg.jpのそれぞれのWEBサイトの改善点を徹底的に洗い出しました。ポイントは、自分が担当していないサイトをチェックしてお互いに“ダメ出し”し合うこと。自分が担当しているサイトはどうしても見慣れてしまい、問題点を発見しづらいものです。学びを活かして、客観的な視点でサイトをチェックすることで、担当者が気づいていなかった改善点がいくつも浮かび上がりました。
―― そうしたアウトプットの工夫も奏功して、学習継続につながったのかもしれませんね。
「グロース X マーケティング編」のような学習・研修プログラムの導入は、弊社にとって初めての試みです。「導入したことによる成果が出なかったら、会社として、今後同じような取り組みは二度とできなくなってしまうよ」と受講メンバーには伝えました。
ちょっとプレッシャーをかけてしまったかもしれませんが(笑)、そうした意識づけを行い、選ばれたメンバーとしての自覚を持ってもらったことも、いい緊張感につながったと思います。
マーケティングが「ワークプレイス」普及の推進力に
―― アプリに追加してほしい機能など、改善すべき点があればぜひ教えてください。
参考書でよく見られるように、単元ごとに要点をまとめたチャプターや資料があるとありがたいですね。その単元を学ぶ目的を明示することで理解にズレが生じないようにしたり、「穴埋め問題」のようなもので学習内容を振り返りやすくしたり…。弊社ではメンバーが分担して毎月の学習内容の振り返り・まとめを行っていますが、その“補助線”を引いてもらえるといいな、という発想です。
あとは、SEOやWEB広告、SNS運用といったテクニカルな知識・ノウハウの要素をやや弱めた、“汎用的”な内容のアプリもあるといいなと。売上構造の分析や顧客理解など、特にベーシックな内容のみにフォーカスしたアプリで、マーケティング部門以外のメンバーにも学んでもらえたら、共通言語化がさらに進んでいくだろうなと思います。
―― 今後取り組んでいきたいことについて、「学習・人材育成」と「ビジネス」の両面からお聞かせください。
弊社はまだまだ小さな組織ですから、業務の質を高めるための知見を社内だけで醸成するのは難しいと感じています。ですから、「グロース X マーケティング編」のような外部の知見を積極的に取り込むことが、ビジネス成長のために欠かせません。外部の知見を取り入れることで、顧客へ提供する価値の向上へとつながっていきます。今回身についた学習習慣を全社へと広げ、定着させていきたいです。
ビジネスとしては、弊社が提唱する「ワークプレイスの重要性」を、より広く世の中に認知してもらう役割を、マーケティング部門が担えるようになりたいですね。
これからの時代、企業とそこで働く人々の成長を促し、生産性の高い働き方を追求するうえで「ワークプレイス」がいかに重要であるか。「ワークプレイス」を豊かにするために、組織にはどんな考え方や仕組みが必要なのか――こうしたことを、効果的な接点・体験を通じてより多くの顧客に伝えることで、ビジネスをスケールさせることに貢献していければと思います。
(インタビューご協力:47ホールディングス株式会社 様)
事業推進部/マーケティングチーム末武花観さんに、学習を通じて得られた成果や学習を成功させるコツについてお伺いした受講者インタビューもぜひお読みください。