シングルマザーの自立支援が日本の大きな社会課題を解決する
ーー まずは皆さんの自己紹介と事業内容をご紹介ください。
江成様:
私たちが運営する一般社団法人日本シングルマザー支援協会は「子育てをしながらも働きやすい社会」をスローガンに、シングルマザーの自立支援に向けた活動をしています。
“シングルマザー=貧困”と考えられがちですが、実は困窮・貧困の割合はさほど高くないんです。本当に困窮している方々は国で守れるようにしっかり施策を打つべきです。
一方で、他のビジネスパーソンと同じようにやりがいの持てる仕事で、収入アップや生活の安定を実現できる支援も必要だと感じています。
一人でも多くシングルマザーが生活を安定させる道を作り、その方法を他のシングルマザーと共有していく。あとから続く人が「自分もできるかも」と思って挑戦する、いい連鎖を作っていきたいですね。
日本シングルマザー支援協会のホームページ
小川様:
私と天満が経営するクラウドカンパニー株式会社は、スタッフがみな兼業でクライアントのコンサルティングワークを行っているのが特徴です。
今後は社会課題の解決へコミットしたいと考えていたところ、2020年の年末に江成さんと出会いました。ITに知見のある我々がシングルマザーのみなさんにITスキルを教え、転職に繋げる支援を始めることになりました。このプロジェクトでグロースXのアプリを活用しています。
これは、日本が抱える大きな社会課題を解決する大きな一歩になるはずです。本講座はまだ18名の参加ですが、日本に120万人いるシングルマザーを救い、幸せになる可能性を秘めていると自負しています。
シングルマザー支援に一番必要なのは意識改革
ーー 具体的には、どのような支援をされていますか?
江成様:
協会の活動として、生活の安定に直結する就職支援に特に注力しています。支援して気づいたのは、シングルマザーの人材紹介を始めた企業は、優秀層など一部の支援に留まっているということです。
支援する女性たちに意識改革を促すことと、正しい情報を取得することが重要だと感じましたね。
彼女たちが“支援してもらう”という意識から抜け出し、自ら生計を立てるため働く。ただ働いていては収入は上がらないので、どうしたらスキルを身につけ、収入アップになる仕事に繋がるのか正しく知り、行動していく必要があります。
たとえば、IT人材の育成は国や自治体の支援事業でも推し進めていますが、残業があるなどシングルマザーの働き方にはハードルが高い職種でもあります。自治体等の育成の取り組みが就職マーケットと合っていないんですね。
これを教えてくれるところがなく、私たちも全てを把握するのは難しい。今回小川さんや天満さんとお会いして、デジタルマーケティングの仕事の幅が広がっていることを知りました。そこで、業界の最先端にいるクラウドカンパニーさんに仕事に繋がる道筋を付けてもらいたいと依頼したんです。
他の分野でも業界の方から得た情報を積極的に提供し、シングルマザーの意識を変えていく役割を担っていきたいと思っています。
デジタルスキルはシングルマザーの新しい可能性になる
ーー 今年度から「ICT支援員」を養成する講座を始めた背景はどのようなものですか?
※参考プレスリリース:「シングルマザーがICT教育を支える『IT・デジタル人材』に
江成様:
コロナ禍で、スキルのない人ほど雇用が不安定になっている状況です。「女性活躍」を銘打つなら、女性に適した仕事を作り出すのが当協会の使命だと考えています。
そこで注目したのが、文部科学省の作った新しい資格である「ICT支援員」です。小中学校でのICT教育の実務支援をする専門スタッフとしてITや情報通信などを教えます。
ICT支援員は学校の時間内に行う仕事なので、子どもがいる女性にとって働きやすい。コミュニケーション力や人当たりの良さが必要など、女性に向いている職業と言えます。
各自治体のICT支援員にシングルマザーが就職できる枠が1つできれば、全国では千以上の雇用に繋がるでしょう。当協会と一緒に、小川さんや天満さんも熱心に自治体や関係団体に働きかけてくれ、女性の収入アップ・生活安定の新たな道筋ができたと感じています。
小川様:
当社はICT支援員の資格講座とデジタルマーケティング講座の運営を行なっています。3割ほどの会員さんがどちらの講座も受講していました。
彼女たちはICT支援員の認定試験の受験時期と、デジタルマーケティング受講の時期が重なって非常にハードでしたが、努力を重ねて、4名の方が試験に合格しました。
ーー 素晴らしい取り組みですね。今お話がありましたデジタルマーケティング講座についても教えてください。
天満様:
協会員のうち希望される方に対して、ネット広告の運用担当者を育成する講座を行なっています。
ネット広告の仕組み、ペルソナ設定、カスタマージャーニー作成、キーワード設定、アカウント運用などを、現役の広告運用者が実際の入稿画面を見せながら教えています。
半年間の講座のうち半分が終わったところですが、実際の広告アカウントを運用できるレベルに到達している方が多いですね。
ーー その中で、「グロース X」を導入するきっかけは何だったのでしょうか?
小川様:
ネット広告の運用担当者を育成するには、マーケティング全体像への理解が必要です。しかし、これを体系立って教えるにはどうすべきか悩んでいました。
我々が教えることもできますが、隔週で1時間半という講座の中で、ネット広告の運用と並行してマーケティングを教えていくには限界があると思ったんです。
その時、経営者仲間だった津下本さん(※グロース X代表)の顔が浮かんで。そこからはトントン拍子に話が進み、講座の学習補助ツールとして、グロースXを導入することにしました。
天満様:
私もこれまでマーケティングに携わってきた経験から、マーケティングの全体像を体系立って教えるのは難しいと感じています。
グロースXは、マーケティングを知って頂くきっかけとして導入しやすいツールです。マーケティングの全体理解をスマホで手軽に進められるのが良いですね。
江成様:
アプリで進捗が見える点が、受講者たちの自信にも繋がると思うので、期待しています。
「人生を変える」モチベーションが進捗率の高さに
ーーグロースX受講者の約8割が進捗率ほぼ100%、全体平均でも毎月80%以上と、非常に高い水準ですが、何か工夫されていることはありますか?
天満様:
進捗率の高さは、受講者の方々が「これで人生を変えるんだ」という思いが大きく、真剣に学んでいる表れでしょう。
受講者の方々から質問が来るので、私を含めた講師は先回りしてグロースXに取り組んで、質問に答えられるようにしているので大変です(笑)。ですが受講者さんから、レベルの高い質問を多く頂くようになって、うれしいですね。
小川様:
彼女たちにはやらされ感がないんです。だから我々は質問のレベルが上がったり、できることが増えた時に「すごいですね!」と褒めています。
江成様:
講師の男性たちが、上から目線ではなく、下から支えるように褒めながら講座を進めてくれているのもありがたいですね。色々な人と関わることで、彼女たちの自信になっていると思います。
天満様:
具体的な取り組みとしては、LINEグループでのフォローとLINE公式アカウントで1on1のやりとりをしています。必要な方にはウィークリーで細やかにフォローすることもありますね。
また、1か月〜1か月半に1回、子供を寝かしつけた後の夜20時頃から、家飲みオンライン座談会を開いています。講座で分からないことを聞けたり、仕事の中身も聞ける機会です。彼女たちの本音やプライベートの部分が聞ける場になり、チームとしての一体感も醸成できました。
小川様:
取り組みを始めて気づいたのが、シングルマザーのコミュニティ作りの重要性です。「ただの世間話でなく、共通のゴールのあるコミュニティに助けられている」という声もあります。
「ふつうの女性」が輝く社会構築に向けて
ーー 最後に、今後取り組んでいきたいことを教えてください。
江成様:
女性を本当に輝かせたいと思っています。そのためには、シングルマザーを守るだけでは通用しません。彼女たちを活躍させていきたいんです。
シングルマザーの多くを占める「ふつうの女性」が、活躍できる社会を作っていきたいですね。それが実現できれば国力も上がります。子どもたちは母親の影響を受けやすい側面もあるので、女性が活躍することで子どもたちも希望が持てるようになります。
シングルマザーの中には、一生懸命働いても豊かになれない層が多い。仕事の選択が間違っていたり、自分に合う仕事が分かっていなかったりします。そんな方々を支援する仕組みの一つが、デジタルマーケティング講座だと思っています。
デジタルマーケティング講座は、講座料をもらっているため受講者も本気になって取り組んでいます。今後は貸付制度も取り入れ、今すぐはお金がなくても一歩踏み出したい方に門戸を開いていきたいです。
小川様:
彼女たちには、残りのプログラムでさらに実践的な経験を積んでもらいます。広告主企業のプロジェクトに関わっていけるスキルを持ったシングルマザーを徐々に増やしていきたいですね。
同時に、この取り組みに共感し、応援してくれる企業・自治体の輪を拡大できればと。シングルマザーの生活を支えられる講座だという認知が広がり、広告主企業にとってもSDGs・CSRとして取り組んでもらえる流れを創りたいです。
日本には取り残されている社会課題が山ほどあるので、より一層それらの解決にコミットしたいですし、先義後利や利他が心底身についている人が集まる集団として、私たち自身も成長していきたいですね。
江成様:
小川さんのおっしゃるとおりで、スキルを身につけることで、自分が今働いている会社よりもいい会社に入れます。お金を払ってでも学ぶ機会を作る、スキルに繋がる情報が入ってくる場所に行くだけで自分自身でアップグレードできると、シングルマザーの方々に知ってもらいたいんです。
また、企業がそういう人を雇っていくことで、シングルマザーに対するイメージが変わっていくと信じています。
◆受講者アンケートより
「とても濃く充実した内容でした!とても力強いサポートで、有意義な時間でした。」
「学習アプリのグロースXも毎日こなすのは、地味に大変でした(笑)でもアプリ学習により毎日デジマが頭の片隅にあったので、私にとってはありがたかったです。実践に入った後も、アプリは何度も見返すと思います。」
「毎回の講義には質問の時間があり、他の受講者の質問からも学習することができました。自分の理解度も確認できたし、一緒に受講する仲間がたくさんいて良かったです!」
※グロースXの学習は、クラウドカンパニー社の「デジタルマーケティング運用者講座」と併用して行われたため、講座とアプリ両方への感想となっています。
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デジタルマーケティングのプロジェクトにより、受講者さんたちの未来と、社会が変わっていく可能性を感じます。
グロース XのグロースXがその一助になれるよう、引き続きサポートさせていただければと思います。
江成さん、小川さん、天満さん、ありがとうございました!