「雑誌のデザインを担う組織」から「ファン・メディア・スタジオ」へ
――十河さん、宜しくお願いいたします。まずは簡単に自己紹介をお願いいたします。
9年前に、以前のピークスの親会社だった枻出版社に新卒入社し、雑誌の広告営業などを担当しました。その後ベンチャー企業への出向などを経て、2018年からピークスに所属しています。
現在ピークスでは、大きく3つの事業を展開しています。1つ目は「PEAKS」「BiCYCLE CLUB」等の自社メディアを中心としたBtoC事業、2つ目は、様々なメディアやパブリッシャーに向けたDX化推進事業、そして3つ目が、法人向けのWebコンテンツや会報誌等の制作事業です。
私は現在、この3つ目の制作事業で、ユニットマネージャーを務めています。
――ピークスさんは、出版業界の変化に伴って、組織としても大きな変革期をご経験されていますよね。
そうですね。もともと当社は出版社のインハウスデザイン組織として、主に雑誌のデザインや映像制作を担っている会社でした。
2021年2月には、親会社がドリームインキュベーター社に、そして趣味やライフスタイル領域のメディアも加わり、現在はメディアを中心としたファンビジネスを展開していく方向に事業を拡大しています。
――市場の変化に応じて、事業を進化させてこられたんですね。
はい。従来型の出版ビジネスは、コンテンツ発信と広告収益を軸としていました。しかし、それだけではなくコンテンツを通じて企業やブランドに価値を提供していく「コンテンツスタジオ」という考え方が登場したことで、ビジネスモデルが変わってきたんですね。
自社の出版に限らない形態で事業をマネタイズしていくようになり、法人のお客様に向けた受託制作に近い仕事も増えていきました。
加速するDXの流れの中で、データ活用や効果測定が課題に
――最近では、出版社にもDX化の波が来ているのではないでしょうか。
そうですね。DX化を含めてビジネスモデルが進化していく中で、従来とは異なる課題が大きく2点出てきました。
まずは、自社でもデータを使いこなして価値提供を行うために、組織としての体系的なレベルアップが必要になったことです。
DX化が進む中、弊社でもWebメディアを2つ立ち上げ、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を導入したのですが、獲得したデータを十分に活用することができていない状態でした。
また、お客様にコンテンツを「納品して終わり」ではなく、目標設定をした上で、しっかりと効果測定を行うことが求められるようになりました。
――効果測定というと、どういった意味合いでしょうか?
私たちは登山や自転車など、バーティカルな領域でメディアを運営しています。その業界で数少ない専門媒体だからこそ、読者の方に長い間ご支持をいただいてこられたと思っていて。
しかし、今後新しいビジネスを作っていく中では、「こうした媒体を束ねたときに、お客様に提案できる価値は何なのか」を定義していくことが重要です。
例えば、専門媒体だからこそ実現できる高いエンゲージメントであったり、併読データといったものを明らかにする必要があります。以前は効果測定というとPV数くらいしかなかったのですが、それだけでは不十分なんですね。
お客様のニーズが細分化し、専門媒体やコンテンツホルダーに求められる役割が変わってきているので、それに対応するためのデータやそれを扱うスキルが必要となってきている…ということになります。
こうした背景から、従来はなかったデジタルマーケティングの考え方が私たちにも必要になってきたことが、ひとつ大きい変化だったと思います。
――なるほど、そうした理由から、グロースXを導入いただいたんですね。ピークスさんでは、制作メンバーの方も含めて受講いただいていることが特徴的かと思います。
はい。今後はメディアブランドを活用した新しいビジネスを生み出すことがより重要になってくるので、制作や編集のメンバーも参加しています。
当初は営業とプランナーを中心に28名が受講していました。社内でも好評だったこともあり、ビジネスプロデュースやコンテンツ制作を担うメンバーを中心に追加で30名に導入させていただきました。
情報設計、UI/UX、デザイン…多様な学びによって実務レベルが向上
――グロースXを導入されて、実際の業務には変化がありましたか?
「たくさん検証する」「PDCAを回す」「振り返りをする」など、マーケティングにおいては当たり前のことが社内でできるようになってきたことが大きいです。
メディアはどうしても「出して終わり」になってしまうところがあり、マーケティング的な文化が薄かったので…。社内の共通認識が変わってきたことが、導入して非常に良かった部分だと思います。
また、多くの受講者から、マーケティングのスキルを体得したことで、自分の頭の中にあった知識を整理し直して言語化できるようになった…という声がありました。
その結果、チームの中でひとつの共通言語を使って話ができるようになったんですね。フロントの営業、プランナー、クリエイターと多様なメンバーがいるので、共通言語を持つことがビジネス成長の加速につながったと感じています。
――具体的には、どのようなスキルが身についたことが良かったでしょうか? 例えば貴社の事業軸でもある「ファンづくり」については、グロースXでも取り上げていますね。
そうですね!他にも受講者に人気だったのが、デザインに関するチャプターです。機能的デザインや、マーケターが抑えるべきデザインのポイントについて非常に実践的に学ぶことができ、皆喜んでいましたね。
こうしたデザインの知識を持つことで、クリエイターとの会話が洗練され、意思疎通が容易になったことでプランニングにかかる時間も短縮されました。
他にも、私たちはエディトリアルデザインに強みを持つ一方、Web上のUI/UXデザインについては一部の者しか専門知識を持っていませんでした。けれど、グロースXで情報設計について学んだことで、それをワイヤーフレームの制作といった実務に直接活かすことができています。
いま当社に求められていることのひとつは、お客様のマーケティング課題を理解することです。その点、グロースXを通じて、カスタマージャーニーマップなどの実践的なスキルを学べたことも良かったですね。
要素を感覚的にデザインに組み込むのではなく、最終的な成果から逆算して情報設計を行い、実際の購買行動に沿った施策提案ができるようになったので、納品するWebコンテンツのレベルも向上したと思います。
メンバー全員で毎月振り返りを。新しい事業を成長させる礎を担っていきたい
――様々な職種の方が一緒に受講していると、進捗管理のフォローも必要かと思いますが、その点はいかがでしたか?
クリエイターも営業も一斉に集まって、全体での振り返り会を月に一度実施していました。カスタマーサクセスの方からいただいた復習用資料をカスタマイズして、穴埋め形式の復習クイズなどをコンテンツにしていましたね。
また、管理者用ダッシュボードで確認できる「理解度」を使った社内ランキングも発表していました。1位になった人が「殿堂入り」となり、次回の振り返り会のファシリテーターをするという仕組みで運用していました。
――十河さんは最初に殿堂入りされたんですよね。素晴らしいです!
通勤時間などのスキマ時間を活用していました。他にも、各マネージャーに呼びかけリードしてもらうなどの工夫もしました。グロースXの学習が進むにつれて、お客様への提案などで活かせることも多かったので、マネージャー陣も自然と力が入っていましたね。
――今後、学習された内容をどう活かしていきたいと考えていらっしゃいますか?
これからは、新しい経営体制のもとで、ファンマーケティング事業と法人向けの制作事業を両輪で拡大させていくフェーズです。受講したメンバーがそのスキルや知識を活かして、事業拡大の礎になってくれればと思っています。
――十河さん、ありがとうございました!
(インタビューご協力:ピークス株式会社 様)