BtoCマーケティングの基本から具体的な施策やツール活用など徹底解説- グロースX | マーケティング研修・営業・AI / DX人材育成サービス

BtoCマーケティングの基礎

BtoCマーケティングとは

BtoCマーケティングは、企業(Business)から消費者(Consumer)に対する製品・サービスのマーケティング活動を指します。売り手(企業)と買い手(消費者)の距離感が近い(顔が見える)場合が多いので、消費者の感情や嗜好、トレンドなどを的確につかむことが重要です。

とくに、SNSや口コミは、個人の「声」(意見、感想)が大きな影響を与える領域です。企業はブランドイメージやエンゲージメント向上を軸に、これらの領域で施策を検討する必要があります。消費者の購買プロセスは多種多様であるため、柔軟かつ消費者目線に立った戦略立案が求められます。

マーケティングファネルの理解

BtoCマーケティングを成功させるうえで欠かせないのが、マーケティングファネル(ダブルファネル)の理解です。一般的には認知→興味→比較・検討→購入→継続→紹介・共有→発散・拡散というプロセスを経るといわれます。ただし、いきなり購入に辿り着く場合もあれば、購入したけど継続にいたらない・紹介には至らない場合もあります。あくまで、そうした挙動をするというフレームワークです。

ダブルファネル

消費者はファネルの上部(認知・興味)から下部(購入・ファン化)へ進むにあたり、複数の情報ソースを比較したり、SNSで評判を調べたりといった行動を取ります。

企業側はファネルの各段階で必要とされる情報や体験を設計し、継続的なコミュニケーションを行うことで購買へと導き、顧客満足度を高めることが可能になります。

顧客理解の重要性

顧客を深く理解することは、BtoCマーケティングの成功に欠かせない要素です。商品やサービスを提供する際、企業側の目線だけで「良いもの」を作っても、それが消費者の求める価値と一致しなければ購買には結びつきません。
特に、商品・サービスがあふれる現代の消費者は、自分が本当に必要だと感じるものにしか興味を示しません。そこでポイントとなるのが、顧客のニーズや行動を掘り下げ、どのような心理や状況で購買に至るのかを正確に把握することです。
こうした理解があってこそ、的確なターゲット市場の設定や効果的なコミュニケーション戦略が可能となり、結果的に企業のブランド価値や収益の向上につながります。

顧客のニーズと行動の分析

顧客が商品を購入する際には、必要性だけでなく欲求や感情、トレンド、さらにインフルエンサーの口コミ、TVCMを見た記憶など、さまざまな要素が絡み合います。これらを可視化するには、データ分析やインタビュー、観察調査など多角的な手法を活用します。

例えば、SNS上の消費者の投稿や商品へのレビューをモニタリングすることで、顧客がどのような動機や感情で商品を選んでいるのかを把握することが可能です。また、Web上の行動履歴を分析すると、どのようなキーワード検索を行い、どのページを閲覧しているかといった具体的な行動パターンを知ることができます。

これらの情報を総合的に分析すれば、顧客が本当に求めている価値や購入のきっかけが明らかとなり、それを施策に反映させることが重要です。

ターゲット市場の特定

顧客理解が深まったら、次に行うべきはセグメントを明確にすることです。すべての消費者に同じクリエイティブ・メッセージでアプローチするのは非効率であり、特定のニーズを持つ層に的を絞ることで、より効果的なアプローチが行えます。例えば、年代や性別、ライフスタイル、価値観などを基準にセグメントを切り分けることで、訴求メッセージや販促チャネルを最適化することが可能です。

具体的には、若年層に向けてはSNSを活用したキャンペーンを、ファミリー層に向けては子育て情報サイトとのタイアップを行うなど、ターゲットに合った媒体とコンテンツを提供することで、認知度向上と購買意欲の喚起が期待できます。

STP分析

 

顧客とのコミュニケーション戦略

顧客の興味を引き、購入にいたるには、複数のチャネルを有機的に組み合わせたコミュニケーション戦略が欠かせません。具体的には、Webサイト、SNS、メールマガジン、広告、イベントなど、多様な接点を通じて顧客に情報を提供します。

ここで重要なのは、一貫したブランドメッセージを届けることです。顧客が様々なチャネルに触れても同じ価値観やイメージを感じられるようにすることで、好感度を高めることができます。


意思決定者の特定とアプローチ

BtoCにおいては、基本的に「個人」が意思決定者ですが、商品やサービスの種類によっては、家族や友人、あるいはインフルエンサーの影響も大きく受ける場合があります。特に、高額商品やライフスタイルに直結するような商品では、家族と相談する場合が大半です。

そのため、単純に“個人”というセグメントだけでなく、購入に関わるグループやコミュニティの影響力を見極めることが大切です。たとえば、実際の購入者だけでなくインフルエンサーや口コミ発信者にリーチできるキャンペーンを企画するなど、コミュニティ全体への働きかけを意識することで、より確実に購入に結びつけることができます。

効果的なマーケティング施策

市場には多種多様なプロモーション手段があり、どれを選び、どのようにして自社の製品やサービスを消費者に訴求していくかは大きな課題です。効果的なマーケティング施策を展開するためには、目的やターゲットに合わせた手法を選択し、組み合わせることが重要となります。
本節では、代表的な手法としてWEB広告、ファンマーケティング、コンテンツマーケティングを取り上げ、それぞれの特徴や活用ポイントを解説します。

WEB広告の活用

インターネット上での広告出稿は、顧客へ向けて効率的に情報を届けるうえで不可欠な手段です。検索エンジン広告(リスティング広告)やディスプレイ広告、SNS広告など多岐にわたる選択肢があり、予算や目的に応じて最適なチャンネルを選択することが重要です。

例えば、即時的な成果を狙うなら検索エンジン広告、認知拡大に重点を置くならSNS広告など、広告媒体の特徴を理解したうえで運用を行う必要があります。また、配信後は定期的な効果測定と分析を行い、PDCAサイクルを回して広告効果を最大化していきましょう。

WEB広告

 

ファンマーケティングの効果

SNSや口コミが一般的になった今、企業にとってUGCを投稿してくれるファンの存在はますます重要になっています。ファンマーケティングとは、既存顧客やブランドに愛着を持つユーザーを中心としたコミュニティを活用し、口コミを通じてブランド価値を高める手法です。

ファンが増えれば増えるほど、(よほどのことが無い限り)ポジティブなクチコミ件数は増えていき、新規顧客獲得やロイヤルティ向上にもつながります。また、定期的なイベント開催や限定コンテンツの提供など、ファンとのコミュニケーションの場を設けることで、ファンを巻き込んだキャンペーンを設計しやすくなります。

コンテンツマーケティングの重要性

消費者はサービスを買う前に、そのサービスから得られる便益に関連する知識や体験を求めています。大半のサービスは「買わないと便益を得られない」からで、そこで代替となる何かが無料で得られないかと考えているのです。

そこで注目されるのが、顧客に価値ある情報を提供するコンテンツマーケティングです。具体的には、ブログ記事や動画、ホワイトペーパーなど、多様な形態のコンテンツを通じて便益を紹介するだけでなく、企業と顧客の接点を増やし、信頼関係を築いています。

消費者はコンテンツから分かった便益を評価するため、魅力的かつ役立つ情報を発信することが鍵となります。

コンテンツマーケティング

マーケティング手法の選定

上記で紹介したWEB広告、ファンマーケティング、コンテンツマーケティングは、いずれも有効な施策ですが、企業の目的やリソース、ターゲット属性、タイミングなどによって適切な選択肢は異なります。

限られた予算や人員であれば、まずは狙いたいターゲットが利用しているチャネルを優先して取り組むことが得策です。また、実施後の効果検証を行い、成功例や失敗例を共有することで、社内でのナレッジを蓄積し、戦略の精度を高めていくことができます。

一度にすべてをやろうとするのではなく、段階的に取り組みを深め、徐々に施策全体の質を向上させていくことが重要です。

 

デジタルマーケティングツールの活用

企業が消費者とつながる手段として、デジタルチャネルの重要性は年々高まっています。顧客との接点を管理し、必要な情報をすぐに届けるためには、デジタルマーケティングツールの活用は不可欠です。

本節では、特にBtoCマーケティングにおいて欠かせないCRMツール、メールマーケティングに注目し、それぞれの特徴や運用のポイントを解説していきます。

CRMツールの利用

CRMツールとは、顧客データ(購買履歴や接触履歴、個人情報などのデータ)の一元管理を可能にするシステムの総称です。BtoCの領域では、膨大な数の消費者データを扱う必要があるため、CRMツールを導入することで下記のようなメリットが期待できます。

  • 顧客をかなり細かくセグメントすることが可能
  • セグメントそれぞれに適したタイミングで、カスタマイズした内容でアプローチできる
  • 行動履歴や購買履歴をもとに自動でフォローアップメールを送付し、ロイヤルティを高める
  • コンバージョン率の測定やキャンペーンごとの効果検証を容易に行える

一方で、導入コストや運用体制の整備が必要になるため、目標や予算を明確化したうえでツールの選定を行うことが重要です。まずは試験的に小規模なキャンペーンで活用し、得られたデータを分析してから導入範囲を拡大するといった段階的な運用も有効です。

CRM全体像

メールマーケティングの戦略

メールは、企業から消費者に直接情報を届けられるチャネルの一つであり、戦略的に活用することで高いROIを期待できます。

属性や購買履歴などでリストのセグメントを作成し、それぞれのニーズに合わせたパーソナライズドされたコンテンツを配信することが重要です。同じコンテンツで一斉送信を行ってしまうと、開封率が低下するだけでなく、「あのブランドのメールは面白くない」と判断され、開封されなくなるリスクが高まるため注意が必要です。

また、メールの件名や送信元名、配信時間などをテストし、最も反応が良い組み合わせを見つけるA/Bテストも効果的です。購買サイクルを踏まえて定期的なリマインドメールやアップセル・クロスセル提案を実施することで、顧客との関係を深め、収益向上につなげることができます。

 

BtoCマーケティングの未来

デジタル技術の飛躍的な進歩と社会環境の変化に伴い、BtoCマーケティングの手法は常に変化し続けています。これまで企業側がリードしてきた商品・サービスの提案は、今や消費者自身が情報を集め、比較・検討し、さらに口コミを通じて企業のブランドイメージを左右する時代となりました。

今後も技術や社会状況の進展によって消費者の行動は多様化し、マーケティング手法はさらに高度化・複雑化していくことが予想されます。そこで、マーケティングDXの進化、消費者行動の変化への対応という2つの視点から、BtoCマーケティングの未来を考えます。

マーケティングDXの進化

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル化を手段に、企業のビジネスプロセス全体を変革し、効率を高め、付加価値を高めていく取り組みです。マーケティング領域では、顧客との接点から得られたデータをデジタル化し、分析・活用してユーザー体験を最適化する流れがさらに加速していくと考えられます。

たとえば、生成AIを活用したチャットボットや、機械学習によるレコメンドエンジンの高度化により、より個別化されたコミュニケーションや顧客エンゲージメントの向上が期待できます。これらのテクノロジーを最大限に活用しながら、企業は柔軟かつスピーディに施策を実行する組織体制の構築を急務としています。

消費者行動の変化への対応

消費者のライフスタイルや価値観は、生活様式や社会環境の変化に伴って多様化の一途をたどっています。スマートフォンやSNS(たとえばライブコマース)の普及により、消費者は情報収集から購買までをより短時間で行えるようになった一方、SNS上の口コミを重視して意思決定をするなど、企業にはリアルタイムでの対応力が求められます。

さらに、購買に至る過程は複雑化し、消費者はオンラインとオフラインを行き来する「オムニチャネル化」も進んでいます。企業は顧客行動の可視化と分析を通じ、いつどのチャネルでどのような情報を提供すべきか仮説を立てて設計する必要があります。

また昨今は、消費者が商品やサービスの社会的意義や企業の姿勢を重視する傾向も強まっています。広告やキャンペーンの表現だけでなく、企業の価値観そのものが購買動機に直結する場面も増えていくでしょう。

マーケティング組織・人材育成ソリューション

マーケティング人材を育成し、業績を出す組織を作るために、「グロースX」ではスキルを体系立てて網羅的に学べるコンテンツを用意しました。

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