AI時代の人材価値の二極化は避けられない。対応するための組織戦略とは - グロースX | マーケティング研修・営業・AI / DX人材育成サービス

はじめに

生成AIや大規模言語モデルの急速な普及により、業務効率化のスピードはかつてないほど加速しています。例えば、かんたんなデータ集計や報告書・資料作成はAIが瞬時にこなすことも珍しくありません。
しかし、一方でその技術を使いこなせる人材と、まだ馴染めていない人材とで、価値の差が開きつつあるのも事実です。本記事では、この「人材価値の二極化」について整理し、企業が今すべき具体的なアクションを解説します。

AI活用人材と価値の二極化

AIを自在に活用できる人材は、従来の数倍のスピードでタスクをこなし、意思決定の質も高められます。その結果、市場価値は急上昇し、報酬やポジション面で優遇される傾向が強まります。例えば社内でAIツールを導入し、日々のレポート作成にかかる時間を90%削減できれば、その分を企画立案や顧客対話にあてることが可能です。

一方で、AIに不慣れな人材は定型業務を奪われるだけでなく、資料作成やデータ分析といった高度なサポート業務でも代替されやすくなります。その結果、「何をすればよいかわからない」という停滞感に陥り、モチベーションが低下するリスクが高まります。

実際に、私自身がAIを活用することで、以下のように生産性を向上できています。

  • 企画、資料作成、文字起こしなどをAI活用することで、従来の5倍の施策数を実行
  • 試行回数が多く時間のかかるデータ分析を、8時間→20分で実行
  • システム開発をAIで行うことで、20人月かかる開発を2人月未満で実現

このように、とてつもないインパクトがあることが伝わるかと思います。AIを活用する人材と、そうでない人材の生産性の差がイメージできるでしょうか。

こういった二極化した状況は、企業の内部にも様々な課題を生み出します。


AI活用人材と価値の二極化

企業が直面する課題

上述したように、AI活用ができる人材が二極化した状況で企業が直面する課題は、以下の3点があります。

  1. 優秀層の流出リスク
       AI活用に長けた人材は、より良い報酬やキャリアを約束する他社へと移動しやすくなります。AI活用に不慣れな人材と比べると、生産性に数倍以上の差がついてしまうため、良いオファーがあればすぐに転職してしまう可能性が高くなります。

  2.  組織全体の生産性低下
       AIを使いこなせない人材が残留することで、業務全体の効率が他社にくらべて相対的に下がります。他社が10分で終わらせている業務に3時間もかけたり、長時間の会議が人材流出によりさらに長くなり、しかも結論が出せない…そういった悪循環により、競争力を保てないレベルで生産性の差がついてしまいます。

  3. 文化・ナレッジ共有の不足
       AI活用が研修や講義実施のみで終わり、得た知見を社内で共有する仕組みが欠けているケースが散見されます。AIの活用が組織に文化として根付いていなければ、属人的な活用でとどまってしまい、結局はAI活用の二極化問題を解決することができません。AIの学習に持続的に取り組むのはもちろんのこと、活用事例のシェアや実践を奨励する文化の醸成が不可欠です。


3つの課題

組織戦略:AI活用人材を増やし、文化として根付かせるために

これらの課題に対して、企業が取るべき3つのステップをご紹介します。

1.AIリテラシーの底上げを図る

まずは組織内で、AIに関する共通言語をもつために、全員で学ぶことです。

重要なのは、AIに対する「学習→実践→議論・シェア」のサイクルを作ることです。ただ学ぶだけではなく、また属人的な実践で終わらせることなく、組織内での議論・シェアの仕組みが重要です。

特に、数回かぎりの外部講師による講義や、動画によるeラーニング実施のみで止まってしまうと、一部の優秀な人材の取り組みで終わってしまうため、二極化を促進する結果となってしまいます。

重要なのは、組織全体で取り組み、上記のサイクルを作ることです。

 

2.学習サイクルを支える仕組みを整備する

上記の得られた知見を共有し合う場を用意したり、良い活用事例を発表する場を設けるなど、学習サイクルを回すための仕組みを整備しましょう。
これは決して現場任せにせず、AI活用文化を浸透させる推進者が責任をもって回すことが必要です。

3.人事制度設計を見直す

AI活用による結果を、明確に評価・報酬に反映させることが重要です。成果に応じた役職や報酬を用意しましょう。また、まだスキルが追い付いていない人には、段階的なキャッチアッププランを提示し、AI未活用人材が取り残されない仕組みを設計します。

活用が進んでいる企業では、AI学習の完了によって給与が底上げされたり、AI活用実績を毎回の人事考査に組み込むといった形で、AI活用をただの掛け声ではなく、組織の仕組みに落とし込んでいます。

制度設計にメスを入れるのはハードルが高いという企業も多いですが、現場でのAI活用実績が増えていくことで、現場から「こんなに使っているのだから評価にも反映してほしい」という声が上がってきます。その声を追い風にして、制度設計まで着手できれば、AIトランスフォーメーションの成功は近いと言えます。


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おわりに

このように、AI時代における「人材価値の二極化」は、企業にとって大きなリスクでもありつつ、生産性を飛躍的に向上させる機会でもあります。全社的なAI活用の定着と、成果を適切に還元する仕組みを整えることで、組織の競争力を維持・強化できるでしょう。
グロースXでは、組織全体で「AI学習→実践→議論・シェア」を自走させるための研修プログラムを提供しています。詳細や成功事例は以下の資料請求ページからご覧ください。

※この記事をご覧になってお問い合わせいただいた方には、執筆者の三浦が商談対応をさせていただきます。組織の現状やAI活用に関する具体的なご相談・ご要望など、最新のAI活用事例をもとにお話しいたします。