最先端技術を支える会社のAI浸透に貢献。
AI人材育成でさらに「わくわくできる会社」へ(入江工研株式会社様)

2023-08-28

1966年に創業した入江工研株式会社は、真空ベローズ(金属にひだを設けた伸縮管)、真空バルブ、真空機器といった精密機器に用いる部品を製造するメーカーです。同社の製品は半導体や太陽電池の他、鉄道、医療、建築、宇宙、加速器など科学技術の最先端の現場で採用されています。精密性と耐久性が求められるこれらの領域にて、質の高い製品を提供し続けているリーディングカンパニーの一社です。

そんな同社では、人材育成の一環として2022年10月よりAI学習アプリ「グロースX AI・DX人材」を導入。半年間の講座の成果を発表する場として、7月14日に都内某所にて、受講者に「AI活用企画コンテスト」が開催されました。

今回はコンテストの会場にて、代表取締役社長の入江則裕さんに、グロースXのサービスを採用した意図と講座を経て感じた手応えを伺いました。

プロフィール

入江 則裕さん
入江工研株式会社 代表取締役社長

1966年、入江さんの父・入江則公さんが新幹線開発プロジェクトメンバーで主任技師の職を辞し、入江工研株式会社を設立。その後、流体制御弁メーカからプラント配管用の大型伸縮継手の製造を依頼され、金属ベローズの世界に飛び込むこととなる。入江さんは大手化学会社にてSEを勤めた後、1999年に代表取締役社長へ就任。就任から現在に至るまで、技術の最先端を支える「わくわくする仕事」に邁進し続けている。

職人気質なメンバーが科学技術の最先端を支えてきた

―― 御社は半導体製造装置や新幹線、宇宙衛星、加速器など、科学技術の最先端を支える機器の部品を製造されていますよね。

代表取締役社長 入江則裕さん

その通りです。今、技術者の間では「真空」に関心が集まっています。なぜなら、宇宙は真空から作られたという説があるからです。真空とは何もない空間に思えますが、そこにエネルギーがあると考えられているのです。

例えば、真空にも一定の圧力が存在します。現在の測定技術では、10-11Paの圧力が限界ですが、技術が日々進歩しその限界も広がりつつあります。

それに伴い当然、弊社が作る製品にもさならる緻密性が求められています。

―― 文字通り、皆さんは最先端の分野を支えているわけですね。入江さんから見て、入江工研はどのような会社だと思いますか?

一言で表すのなら、非常に真面目な職人が集まる会社だと思います。仕事においては非常に頼もしい性質でありつつ、時代の変化に対応する柔軟性は、大きな課題の一つかもしれません。

時代の変化に伴い、人々に求められる能力は大きく変わりました。以前は読み書きそろばんが必須のスキルでしたが、時代が進むと英語の必要性が増したり、パソコンを扱う能力が求められたりするようになりました。現在はここに、AIという未知の領域が加わりました。

柔軟に新しい技術を身につけられるよう、入江工研では「守破離アカデミー」という教育制度を設けています。茶道や武道の教えの概念である守破離に基づき、社内の蓄積された技術をはじめさまざまな知識を学び、オリジナリティを発揮できる従業員を育成していくのがアカデミーの目的です。現在は、動画による教育システムの構築を進めています。

グロースXの一言がAI活用への道を塗り替えてくれた

――グロースX AI・DX人材」を採用されたのも、社内での人材育成の一貫だったのかと思います。業務の中では、AIをどのように活用していたのですか?

全く使いこなせていませんでした。私はSEとしてプログラミングを経験していて、AIの仕組み自体は理解できました。業務改善の一環としてAIにも触れていたのですが、AIツールを社内でいちから構築するのも、従業員に教育するのも途方もなく大変なことだと思ったのです。AIでの業務改善も検討し、いくつかの企業さんに話も聞きましたが、私には現実的な提案として感じられなかったのです。

―― 他社からの提案は、なぜ現実的に思えなかったのでしょうか?

私が話を聞いた企業さんは、いずれも「AIによって定型業務をロボット化しましょう」と提案してくださいました。しかし、私は現代のような「多品種大量生産の時代」において、完全に定型化できる作業は存在しないと思っていたので、提案に納得ができなかったのです。

例えば、大手ファストフードチェーン店を思い浮かべてください。各店舗には膨大なメニューがあり、それぞれに「ネギ抜き」「汁だく」「ピクルス抜き」などトッピングのオーダーも受け付けています。支払い方法も、現金からクレジットカード、電子マネーまで多種多様です。

もしかすると、店員さんが一度も経験したことがない業務が存在するかもしれません。それらすべてを、いちからAIに学習させるのは難しいと感じたのです。

―― 御社のように緻密な部品を製造するメーカーでは、なおのことAIによる自動化は難しいかもしれませんね。

いろいろと考えていた時、ある企業さんからグロースXさんを紹介され、グロースXの担当者さんから思いもよらない言葉を聞いたのです。その方は、私に「既存のツールを使えばいい」とおっしゃいました。

この言葉は、これまで「自社でAIを構築しないといけない」と考えていた私にとって、非常に衝撃的でした。すでに存在する優秀なAIツールを用いて業務改善をするのなら、今よりずっと現実的なアイディアが浮かぶかもしれない。そう思い、AIについて新しい見解を示してくれたグロースXさんに興味を持ちました。

その後、「グロースX AI・DX人材」のお試し版を使用してみたところ、デザイン的にも優れていて「面白そうだ」と感じ、アプリを導入することにしたのです。

AIの存在と危機感をリアルに感じ取れるようになった

――「グロースX AI・DX人材」の受講者はどのように募ったのですか?

弊社には、約200名の従業員がいますが、AI/DXに興味がある受講希望者を募ったところ、20名ほどが手を上げました。研修やセミナーは、こちらから強制しても学習は継続できません。自身の希望で学んでもらうことで、学習が継続し、定着すると考えています。今回は非常にやる気のあるメンバーが、すぐに集まりました。

当初の受講者は若手が中心でしたが、管理職からも「ぜひ私も勉強したい」と希望者が出てきたのは驚きましたね。技術者だけでなく、経理部など事務系のメンバーも参加してくれました。

――手を上げた方々もまた、入江社長のように「AIを学びたいけれど、どう学べば分からない」と思っていたのかもしれませんね。受講者からは、どのような感想があがっていますか?

私は受講者全員の各講座へのコメント欄を読んでいるのですが、ほぼ全員が「これ(AI技術の進歩)はすごい」「これは勉強しなければダメだ」とコメントしていました。世の中で起きている技術革新を目のあたりにして、「もっと真剣に学ばなければ世の中に置いていかれる」という危機感を、誰もが覚えていました。 

かつてパソコンが登場した時、私はパソコン教室の講師を務めていたことがあります。そこでは、「ブラインドタッチを覚えて若手社員にバカにされないようにしたい」と言って、会社の管理職の方々が通っているのを見ました。

AIを取り巻く環境も、当時とよく似ています。ただ、以前は「パソコン」という有形のツールが対象でしたが、AIは無形で何に使えるかもよく分からず、学ぶための教室もありません。

「グロースX AI・DX人材」の導入は、AIについてみんなに考えてもらうというのが主な目標でした。そういう意味でいうと、今回の導入は大成功だと言えます。今日の企画コンテストで、参加メンバーたちがどんな発表をしてくれるのか、非常に楽しみです。

今回の発表内容から、社内の業務改善にタネを見つけつつ、文書作成といった日々の業務で積極的にAIを活用していきたいと考えています。

最先端の技術を学び「面白いことができる会社」であり続けたい

――アプリによる学習体験はいかがでしたか?

非常にわかりやすかったです。アプリなので、スキマ時間で勉強しやすかったと思います。学習内容も、くどいと思うほど同じ用語を質問してくるのがいいなと感じました。アプリ画面では、本当に何度も「そういえば、この用語は覚えていますか?」と質問されるんです。

突然質問が飛んでくるので、覚えていないことも多々ありました(笑)。ですが、杓子定規的に復習を促すというわけではないのが、私には好印象でした。

定期的に設けられているテストも、アプリ=機械が採点してくれるので、間違いがあっても気恥ずかしさがなかったのもいいですね。おかげで、学ぶハードルはぐっと下がったと思います。

―― もしも入江さんが、「グロースX AI・DX人材」を他の方々に勧めるとしたら、どんな点をおすすめしますか?

AIが何かまったく分からない人でも、学びやすいという点です。私たちが実践したように、学ぶ意志の高いメンバーを集めて講座を受けてもらえれば、多くの成果を得られると思います。それに、スキマ時間で学習できるのもおすすめできるポイントだと思います。私はよく、自宅のお風呂で勉強していました(笑)。

―― 最後に、「グロースX AI・DX人材」の導入をきっかけに、今後御社をどのように成長させていきたいかお聞かせください。

今回のファーストチームの成果をもとに、AIを活用できる環境をもっと強化していきたいと思います。それと並行して、次に「グロースX AI・DX人材」を受講するセカンドチームの募集を開始する予定です。初回と同じく20名を集めれば、全従業員の2割(40名)がAIに詳しい人材となります。その後は様子を見つつ、AIに精通した人材を徐々に増やしていきたいです。

技術者は全員、最先端の技術に興味があるものです。AIなど新しい技術にキャッチアップできない会社に、いい技術者は集まりません。AIに限らず、今後も新しい技術を着実に身につけていき、入江工研が「面白いことができる会社」であり続けたいと考えています。

AI活用企画コンテスト」にて、入江社長とコンテスト参加者

(インタビューご協力:入江工研 様)

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