組織力で戦うアドバイザリー会社になるために必要だったのは、マーケティング知識
(ガーディアン・アドバイザーズ様)

2023-07-25

2022年11月にサービス提供を始めた「グロースX BtoBマーケティング&ビジネス」がきっかけで生まれたものは、全員が意味を正しく理解し納得して掲げられた「顧客の成功のために」というスタンス、そのスタンスに基づき、事業をまたいで賑やかに真剣に交わされる議論です。更には、その議論は社内を飛び出し顧客をも巻き込んでいるようです。

個人の能力ではなく組織の力で戦う新しいアドバイザリー会社を標榜し、学びを実践に結びつける重要な役割を担う、マーケティング専任の第一号社員・青木梨名さんと、自らも受講者としてリスキングしたという佐藤創社長にお話を聞きました。

プロフィール

青木 梨名さん
シニアアソシエイト マーケティング。全日空客室乗務員、ビズリーチを経て、2021年からガーディアン・アドバイザーズにマーケティング担当として参画。慶應義塾大学在学時は体育会ラクロス部のマネージャーリーダーとして全日本ラクロス大学選手権大会優勝に貢献。

佐藤 創さん
代表取締役社長 兼 CEO。証券会社・投資銀行・M&Aブティックを経て、2015年にガーディアン・アドバイザーズ株式会社を設立。慶應義塾大学卒業以来、20年以上M&Aアドバイザリー業務に従事するスペシャリストでもある。

 

社長もいち受講者。全員でマーケティングを学ぶ。

シニアアソシエイト マーケティング 青木さん

―― 全員でマーケティングを学ぼうと考えたきっかけを教えてください。

佐藤さん:
M&Aアドバイザリー業務をいくつかの会社を転々として経験してきましたが、ほとんどの会社では、属人的な営業力が重んじられ、社内での縄張り争いや情報の囲い込みが日常的でした。私自身のそういう経験があったので、自分が会社を作る時には、「属人的ではなく組織的に再現性のある仕事をすることを重視したい」と考えていました。会社を設立したのは2015年ですが、今から2年ほど前にいよいよ組織的に再現性のあるマーケティングに本格的に取り組もうと考えました。

青木さん:
発端は、デジタルテクノロジーは必要不可欠で、情報を共有して組織として戦っていく上で、マーケティングが必要だと考えたからだと聞いています。私は、そのタイミングで入社しました。アドバイザリー会社は優秀な人たちの個々の力で成り立っているところがありますが、それを組織的な活動に変えていくというわけなので、同業界でお手本にできるところが見当たらず、自分たちで作っていくしかない難しさがありました。

佐藤さん:
会社を成長させていくためには、受注を強化する必要がありますが、過去の成功体験、つまり人脈で仕事を得るというベテラン層を集めて属人的な会社にするよりも、まっさらでこれからという人たちで、マーケティング組織を作る方が良いと考えた背景もありました。

青木さん:
社内にマーケティングのプロはおらず、学ぶとしても何をどうすれば良いのか分からなかったので、書籍はかなり読みましたし、外部の方にアドバイスを求めたり、良い教材がないか探したりしました。佐藤ともよく話をしました。

佐藤さん:
グロースXさんのことは、「何をどう学ぶか」を模索している時に知りました。BtoBビジネス向けもリリースされていると知り、さっそく利用しようと考えた次第です。

青木さん:
職種と役職を踏まえて8名で受講するところからスタートしました。8名の内訳は、マーケティングチームの他に、業務でデジタルマーケティング知識が必要なDXのアドバイザリーに関わる人たち全員と、M&Aアドバイザリーに関わる人たちの中から上位役職者を選抜した形です。佐藤も受講者の一人です。

―― マーケティングを学んだことで変化はありましたか。

青木さん:
あります。M&AのチームとDXのチームの連携が進んだことが大きいです。

佐藤さん:
会社を始めて間もなく、お客様の経営課題の解決方法として、M&Aに加えて、今でいうDX、当時のわれわれの言葉ではIT前提経営、に関するアドバイスも提供するようになりました。そして、各メンバーがM&AとDXのいずれにも対応していました。社員数が増えてくるに従って、M&AチームとDXチームに分けたことで、営業もサービス提供も別々に動くようになっていった。それが、再び一緒に…という流れができてきたというイメージでしょうか。お客様のニーズに対して、全員ですぐに反応できるようになってきました。直近の例では、M&Aだけでなく投資先のDXにも積極的な投資ファンドを経営するお客様に対して、M&AとDXのチームが共同で提案をしました。

青木さん:
このお客様のDXの課題はM&Aのプロセスの中で発生していたので、とても良い事例になりました。他にもM&Aの提案の際にDXチームのメンバーの助言が盛り込まれるといったケースが増えています。

佐藤さん:
そうですね。今週、ある事業分野の成長のために、どういう分野のM&Aを進めていくかについて、お客様に提案しに行くのですが、M&Aチームが中心になりながらも、M&AチームのメンバーがDXチームのヘッドに相談に行くなど、まさにチームや役職の垣根を越えて仕事をしています。

顧客に価値を届けるチームへ

代表取締役社長 兼 CEO 佐藤さん

―― 現在の状態は、グロースX BtoBマーケティング&ビジネスを学ぶタイミングで狙っていた未来なのですか。

佐藤さん:
正直、当時はここまでの未来は描けていませんでした。お客様からのご相談をいただく入口のタイミングで、M&AチームとDXチームが情報共有や協働を行って営業活動の合理化ができれば、その後の提案やフォローなどは、M&AチームとDXチームそれぞれが行えばよいくらいに構えていました。ですが意外と、お客様への提案や受注してからのサービス提供においても連携が増えてきています。

青木さん:
これはとても嬉しい展開です。それから、チームを越えて何を重視して仕事をするべきかを言語化し、それに基づいて動けていることも大きな収穫だと思います。その一つが「顧客の成功」です。弊社のお客様にとっての「成功」とは何かについて受講者全員で議論して、明確に定義ができました。それにより、M&Aでの成功の定義をDXチームも理解することができ、DXでの成功の定義をM&Aチームも理解することができるようになりました。

メンバーの経験値や年齢は様々で、ベテランメンバーこそ経験に基づく判断基準がそれぞれにあったので、その知識を一度出してもらった上で、言語化していくプロセスは貴重でした。そして、話し合いを重ねて導き出した定義によって、全員の目線が揃った状態で動ける体制になったことは、組織的に活動していく上で欠かせない第一歩です。

佐藤さん:
最近、あるファンドの方からM&Aチームに「売却のアドバイザーを引き受けてくれないか」という相談があったのですが、私たちは「あと半年から1年待ってから売却することも検討した方がよいかも知れません」というお話もしました。というのも、今期の業績がかなり上がる見通しだったため、それがほぼ間違いなくなったり実際に確定するのを待った方が買手から高い評価額を得られると考えられるからです。

「顧客の成功」を「タイミング良く売却できることが成功状態だ」と定義できているからこそ迷いなく顧客志向の発言ができます。これがなければ間違いなく「今売るならば・・・(とりあえずわれわれの仕事になる)」という話になりますから。全体として、目先のことで判断せず大局的に捉えられるようになっていると思います。

顧客も巻き込んで、カスタマージャーニーマップを更新する

―― 言語化にあたってグロースXのワークシートが役立ったということですが、どんな風に活用されたのでしょうか。

青木さん:
ワークシートはもちろん、チャプターで提示される解説に助けられながら、要点を掴んで受講できました。書籍の場合は、著者が経験した業界に特化した内容も多く、自分たちの業界に活かしにくいと感じることもありますが、グロースXの場合は、偏りなく標準的で、業界を転換する必要がないこともありがたかったです。

弊社としての工夫があるとすると、学びを活かすための社内ミーティングの頻度と内容でしょうか。頻度は多い時で月に5回ほど。内容としては、まず学んだことを復習し、どうやって実践に繋げるかを決めます。学びに貪欲な人たちばかりの会社なので、一人ひとりはしっかり学ぶものの、それだけだと議論は起こりにくいですし、同じものを学んでいても異なった理解をしているケースもあるので、復習は必要です。そして、その学びを、自社で使うとしたらどうかと置き換えて考えてみる。すると、集中的に議論した方が良いテーマが見えてくるんです。学んで終わりではなく、自社の活動にどう活かすかまで考えることで、実業務に落とし込めていけたのかなと思います。

(ワークシートの例から引用)

青木さん:
実際に時間をかけて話し合ったテーマをご紹介すると、現在進行形ですが、カスタマージャーニーマップでしょうか。お客様がどんな行動をし変化していくのかを描くものですが、これが何なのかを改めて全員で理解し直した上で、それぞれに作ってみるという宿題を出しました。その上で、それらを土台に議論をしました。しかしあくまでも同じ会社内の人間同士なので、内容に偏りが出たり、推測で書かなければいけない箇所が出てきます。ですので、実際に作ったものをお客様にお見せして生の声をいただいたりもしています。

佐藤さん:
お客様も、「これはちょっと違うかな」と、率直な意見を下さるんですよ。ちなみにM&Aの情報収集をしている段階では、「3ヶ月に一度はアップデートして欲しい」という具体的なご要望があったりもしました。

青木さん:
今は、カスタマージャーニーマップをお客様に見ていただいて、意見をいただいて、また社内で共有する。するとそこから見えてくる課題があったりして、日々の業務の改善や新たな施策に繋げる、という流れの真っ只中にいます。以前にも増して、コミュニケーションの内容が濃くなっていると思います。

―― すでに属人的な営業から組織的営業に変化しつつあるように思いますが、今後の展望はありますか。

青木さん:
カスタマージャーニーマップひとつにしても、バージョンを継続的にアップデートしていく仕組みが必要だと考えています。日頃からお客様と接しているM&AチームやDXチームと一緒に定期的に見直し、時にはお客様からもご意見をいただいてまた議論をする、「循環」です。お客様の状況は刻々と変化しますので、私たちはそれをキャッチアップすることで、常にお客様の「成功」を起点に組織的な活動をしていきたいと思っています。

(インタビューご協力:ガーディアン・アドバイザーズ 様)

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