【導入事例インタビュー:東日本旅客鉄道株式会社】
JR東日本が挑むデジタルマーケティング推進 リアルな課題と向き合い、組織に生まれた変化とは

2021-08-04

駅と鉄道を中心とした、日本のインフラを担う東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)。

同社では、コロナ渦における家ナカ需要が拡大する中、2020年より自社のEC事業である「JRE MALL」を担当する新領域ユニットを強化。

また2021年には、新事業創造プログラム「ON1000(オンセン)」から生まれた3つの新しい事業がサービス開始となるなど、組織としてのDX化、特にデジタルマーケティングを強化するニーズが高まりつつあったそうです。

加えて、デジタル領域を外部に丸投げするのではなく、社内メンバーが基礎から知識やスキルを身に着けたいという思いから、今回は6グループ・33名の方にGrowth Xのマーケティング学習アプリ「コラーニング」を受講いただきました。

学習を進める中では、得た学びをもとに、自社事業のリアルな課題をデータに基づいて話し合うワークショップを計7回開催。ショッピングカートの離脱率改善やメールマガジンのA/Bテスト、さらにはKPIを分解した上でPDCAを回すプロセスなど、実務面にも多くの変化があったといいます。

今回は事業創造本部 新領域ユニットのマネージャー 松永 美砂様と、ディレクター 神部 景祐様に、コラーニングアプリの導入から活用、実践に至るまでの背景を詳しくお伺いしました。

東日本旅客鉄道 事業創造本部 新領域UT マネージャー松永様(左)、ディレクター神部様(右)

JR東日本のショッピングモールサイト「JRE MALL」の販促施策を担う

――では、お二人の自己紹介からお願いできますでしょうか。

松永さん:私は、2020年4月に新領域ユニットに着任し、今はショッピングモール「JRE MALL」の販促全般を見ています。
具体的な業務としては、解析ツールを用いたサイト分析や、シーズンごとのキャンペーン、会員向けのメルマガ配信などのサービス提供を行っています。

神部さん:私は2020年の10月に、新領域ユニットに着任いたしました。現在は、JRE MALLの販促全般と、データ分析周りを業務として担当しています。

松永さん:JRE MALLは、モール型のショッピングサイトです。様々なショップが出店して商品の販売を行っているほか、鉄道関連のオリジナル商品などを取り扱っています。

JRE MALLのサイト

神部さん:JRE POINTという、鉄道や駅ビルの利用で貯まるポイントをお使いいただける点が特徴です。

販促施策としても、JRE POINTを保有している方に向けてポイントアップ施策を行ったり、ビューカードをお持ちの方向けの限定特典をご案内するなど、ロイヤリティの高いユーザーに向けた施策はほぼ毎月行っています。

家ナカ需要の拡大で、社内の期待値が上昇。KPIが「倍々」に…

――お二人とも、昨年に着任されたばかりなのですね。

松永さん:そうです。私が着任したのは、新型コロナウイルスの拡大による緊急事態宣言の真っ只中でした。着任の翌週から、突然出勤も禁止になるような状況でしたね。

ですがその一方で、緊急事態宣言に伴って家ナカ需要が拡大したことで、社内のEC事業への注目度は急速に高まっていきました。風向きが一気に変わり、JRE MALLの目標KPIもあっというまに倍々と伸びていきまして…。

ただ当時の運営メンバーは、ほぼ全員が他の業務と兼任しているような状態でした。しかしKPIが高くなれば人員を含めたリソースも必要になるので、新しく募集をかけ、2020年秋以降に一気に専任メンバーが増えた形です。

こうした背景に加えてDXの文脈もあり、デジタルマーケティングを強化するニーズが高まったのですが、新しいメンバーも含めてデジタルに触れたことがない人が大半で。各自で学習はしていたものの、組織としてスキルを学ぶチャンスを探している状態でした。

――その中で、コラーニングアプリを導入いただいた背景にはどういったことがあったのですか?

松永さん:上長と私が、Growth X社のCMOである西井さんの『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』を読んだことがきっかけで、オフィスにお伺いして、ご相談する機会があったんですね。

その中で、「今せっかくメンバーが集まったのだから、デジタルの領域を外部に丸投げするのではなく、みんなで基礎から学習して知識を身に着けては」というお話をいただいて、とても共感したんです。

マーケティング学習というと難易度も高いように思いますが、コラーニングはスマホアプリという取り入れやすさもあったので、LINEを使うような感覚で活用できそうだなと。

最終的にはJRE MALLの運営メンバーだけではなく、6グループにまたがって導入することにしました。私たちのようにデジタルマーケティングに直接関わるメンバーはもちろん、将来的に関わるであろうグループからもピックアップした形です。

――将来的に…というと、どのような職種の方になりますか?

松永さん:2018年から行っているON1000(オンセン)という新規事業の開発を行うプロジェクトで、事業開発を行っているメンバー等です。全社員を対象に企画を公募し、スタートアップ的に事業化を目指す取り組みなのですが、3年間で2,500件ほどのアイデアがエントリーされています。

例えば、ペットの健康維持・向上を目的とした総合情報サービスとして2021年4月にリリースした「Pawstep」という事業があるのですが、その企画者である元乗務員の女性なども参加することになりました。

学習内容にリアルな数字を当てはめ、課題を確認するワークショップを実施

――学習を進める中で、運用面で工夫されていたことはありますか?

松永さん:基本的には声掛けをしながら各自で進めていたのですが、全体での取り組みとして、受講者を5つのグループに分けて合計7回のワークショップを開催しました。

神部さん:ワークショップの内容は、学習した内容を自分たちの業務に当てはめて、具体的な改善策などについて話し合う…というものです。例えば、「階段図(※)」について学んだあとには、実際のJRE MALLの数字を階段図に当てはめ、「この数字は高いか低いか?」「原因はどこにあるのか」といった形で、改善策のアイデアを出し合いました。

※階段図:顧客と売上の構造を分析するフレームワーク(コラーニング アプリより)

神部さん:他にもカスタマージャーニー、広告運用など、みんなで議論がしやすそうなテーマに絞って取り上げていました。

ワークショップで使われた資料スライド
実際の数字をあてはめて議論(左) ランキング1位の受講者にはお祝いも(右)

――実際のリアルな数字で当てはめてみるというのは良いですね!

神部さん:普段、それぞれが別の業務を担っている中、こうしてみんなで体系的に学習する機会ってなかなかないですよね。なので、各自で学習するだけではなく、集まって同じデータを見ながらより理解を深めることが必要だと思い、開催していました。

普段の業務に当てはめた具体的な内容を話し合うようにしていたので、みんなで課題に対して同じ問題意識を持てるようになったことが良かったと思います。

実際、ワークショップで取り上げた内容を実務にも活かし始めています。例えばECのショッピングカートについて学んだ後に、実際にJRE MALLのカートで、どこでユーザーが離脱しているかをワークショップで確認したんですね。

その上で、ステップごとに実際のページを見ながら、離脱の原因と思われる要素を出していきました。例えば「入力がエラーになっていることに気が付けない」「送料がわからない」といった仮説を出しながら、議論をしていき、今後はこれらの改善点を実際にサービスに適用しようとしているところです。

コラーニングアプリの学びによって、メルマガ改善やKPI設定にも変化が

――ワークショップから実務に活かされるお取り組み、素晴らしいですね。他にも導入による変化はありましたか?

松永さん:社内コミュニケーションが変わったと思います。先ほど申し上げたように、着任したばかりのメンバーが多く、かつテレワークに移行したことで、ただでさえコミュニケーションが取りづらい環境にあったと思うんですね。

ですがその中で、コラーニングアプリで学んだ用語や考え方はチームの中の共通言語になっていったので、会議などで話を進めやすかったです。

神部さん:大勢が集まる会議だと、まずは「専門用語の説明」から始めなければならないこともあると思います。ですが、いまは基本的に同じ共通言語を勉強をしたメンバーなので、いきなり本題に入って本質的な議論を行うことができます。それによって、やはり議論が以前より発展していく感覚はありました。

コミュニケーションの改善が見られる結果に(社内アンケートより)

――先ほどショッピングカートのお話もありましたが、他の実務面にも変化がありましたか?

神部さん:細かい施策で言うと、学習内容を活かして会員様向けのメールマガジンの改善を行いました。以前は基本的に、全員に一律の内容をお送りしていたのですが、いまではA/Bテスト的に検証を行うようになりました。

例えば配信時間は夕方がいいのか、お昼がいいのか。平日と休日はどちらがいいのか。タイトルはどんな内容が良いのか…等々、様々なテストを行い、開封率などのインパクトを検証しています。変化率が20%ほど出る場合もありましたね。

以前は、新しいキャンペーンが始まればバナーを出して、メルマガを送って、最終的にいくら売れました…ということをトレースして終わってしまっていて。いまはよりブレイクダウンして、購入した人は誰なのか、リピーターなのか、といったポイントから検証ができています。業界としては普通のことかもしれませんが、個人的には「やっとここまで来れたな」と嬉しいですね。

また、期が変わって新しいKPIを設定する際にも、学びを活かせたと思います。ただ予算を見るだけではなく、その達成のために必要なアクセス数やCVR等に分解して目標を決められるようになったんです。いまは振り返りをしながら「ここが足りていないね」「じゃあ打ち手としてはこれをやろう」という話できているので、以前とは大きく変わったと感じます。

松永さん:PDCAを回す、ということに関しての意識が変わりましたし、KPIをより分解して考えられるようになったのだと思います。

デジタルマーケティングの知識は、新規事業の開発にも活きた

――実務面でも変化がたくさんあったのですね。新領域ユニット以外のグループの皆さんはいかがでしょうか?

松永さん:Pawstepはちょうどサイト立ち上げのタイミングだったので、LPの設計や、バナーのクリエイティブを作っていく中で、コラーニングアプリでの学びを活かせたと言っていましたね。また、「STATION WORK」というエキナカ×シェアオフィスの新規事業でも、定量的な数字を見ながらサイト分析ができるようになったと喜んでいました。

新規事業という意味では、JRE MALLでも、昨年の10月に新しくふるさと納税を立ち上げまして。その運営メンバーも、今回得た専門的な学びを、サービス立ち上げに活かすことができたと言っていましたね。

こうしたスタートアップ的に事業を立ち上げているメンバーにとっては、デジタルマーケティングは今後、絶対に必要になるスキルなので、今回導入して良かったなと思っています。

――ありがとうございます!お二人のネクストチャレンジは、どのようなことになりますか?

神部さん:私は、やはりJRE MALLの予算達成というところが一番のゴールですので、その達成に向けて引き続きがんばっていきたいです。これまで学習した内容を活かして、細かく目標を設定しながら、PDCAをしっかり回していければなと思います。

松永さん:JRE MALL自体は、今年の4月から4年目に入ります。ただ事業としては後発になるので、今後はより独自性を出していきたいですね。いまはサイトや既存ユーザーの分析を行いながら、ユーザーのペルソナを見直して、数年後を見据えて動いています。

運営会社が交通インフラを担う鉄道会社ですので、やはり「安全、安心」というイメージを大事にしたいですね。その上で、交通だけではない、より広い生活を支えるインフラのような存在になっていければ、と思っています。

(インタビューご協力:東日本旅客鉄道株式会社 様)

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