デジタルを理解すれば、ビジネスで描く世界が変わる
西井 まさに、必要な知識が常に変化していく中で、どうすれば教育できるのかを考えてコラーニングが生まれたんです。コンテンツをすぐに最新のものに更新でき、ユーザーからもフィードバックをもらえる点が一番いい打ち手だと考えました。
ここ数年は企業で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が叫ばれていますが、なかにはEコマースで売ることをDXと呼んでいる企業もあり、会話がかみ合わないと感じることがあります。消費者は当たり前のようにスマートフォンを使いこなしていくなかで、ビジネスのDXがなかなか進まないことは大きな課題ですね。
西口 私は企業のDXには2つの問題点があると考えています。ひとつは、DXの目的が欠如していることです。
DXには3つの目的があります。ひとつ目は、商品やサービスを生産してから届けるまでの過程にデジタルの技術を取り込み、ムダ・ムラ・ムリを省いてコストダウンすること。これは「業務のDX」と言い換えることができます。
2つ目は、扱っている商品やサービスをデジタル世界で届けること。たとえば、店頭で売っていたパッケージのソフトウエアをクラウドからダウンロードできるようにすることで、これは「事業のDX」と言えます。
3つ目は、価値そのものをデジタルでつくり上げること。これは「価値のDX」と言い換えることができ、たとえばSNSがそれに当たります。この3つの目的が定まっていないままに、「DXを推進しなければ」という思いだけを持っている人が多いと感じます。
そして2つ目の問題として、何をやるべきか判断する立場の経営層がデジタルツールやテクノロジーで何ができるかを分かっていない状況にもかかわらず、IT企業が様々なツールを売り込むため、企業内のDXがより複雑化してしまっていることです。企業側にビジネスをしていくうえで必要なデジタルの知識やノウハウがあれば、「価値のDX」のように全く違う世界を思い描けるようになります。
たとえば、電気自動車メーカーのテスラは、モビリティの世界を変えるでしょう。テスラの車は、もはや移動手段だけではありません。車に家やオフィスの機能を持たせれば、そのままあちこちに移動してご飯を食べたり、旅行に行ったりできるようになります。CEOであるイーロン・マスクは、「土地」という概念が変わるレベルのことを考えているでしょう。
「Co-Learning(コラーニング)」は、スマートフォンアプリの名称として継続して使用いたします。