生成AIや大規模言語モデルの急速な普及により、業務効率化のスピードはかつてないほど加速しています。例えば、かんたんなデータ集計や報告書・資料作成はAIが瞬時にこなすことも珍しくありません。
しかし、一方でその技術を使いこなせる人材と、まだ馴染めていない人材とで、価値の差が開きつつあるのも事実です。本記事では、この「人材価値の二極化」について整理し、企業が今すべき具体的なアクションを解説します。
AIを自在に活用できる人材は、従来の数倍のスピードでタスクをこなし、意思決定の質も高められます。その結果、市場価値は急上昇し、報酬やポジション面で優遇される傾向が強まります。例えば社内でAIツールを導入し、日々のレポート作成にかかる時間を90%削減できれば、その分を企画立案や顧客対話にあてることが可能です。
一方で、AIに不慣れな人材は定型業務を奪われるだけでなく、資料作成やデータ分析といった高度なサポート業務でも代替されやすくなります。その結果、「何をすればよいかわからない」という停滞感に陥り、モチベーションが低下するリスクが高まります。
実際に、私自身がAIを活用することで、以下のように生産性を向上できています。
このように、とてつもないインパクトがあることが伝わるかと思います。AIを活用する人材と、そうでない人材の生産性の差がイメージできるでしょうか。
こういった二極化した状況は、企業の内部にも様々な課題を生み出します。
上述したように、AI活用ができる人材が二極化した状況で企業が直面する課題は、以下の3点があります。
これらの課題に対して、企業が取るべき3つのステップをご紹介します。
まずは組織内で、AIに関する共通言語をもつために、全員で学ぶことです。
重要なのは、AIに対する「学習→実践→議論・シェア」のサイクルを作ることです。ただ学ぶだけではなく、また属人的な実践で終わらせることなく、組織内での議論・シェアの仕組みが重要です。
特に、数回かぎりの外部講師による講義や、動画によるeラーニング実施のみで止まってしまうと、一部の優秀な人材の取り組みで終わってしまうため、二極化を促進する結果となってしまいます。
重要なのは、組織全体で取り組み、上記のサイクルを作ることです。
上記の得られた知見を共有し合う場を用意したり、良い活用事例を発表する場を設けるなど、学習サイクルを回すための仕組みを整備しましょう。
これは決して現場任せにせず、AI活用文化を浸透させる推進者が責任をもって回すことが必要です。
AI活用による結果を、明確に評価・報酬に反映させることが重要です。成果に応じた役職や報酬を用意しましょう。また、まだスキルが追い付いていない人には、段階的なキャッチアッププランを提示し、AI未活用人材が取り残されない仕組みを設計します。
活用が進んでいる企業では、AI学習の完了によって給与が底上げされたり、AI活用実績を毎回の人事考査に組み込むといった形で、AI活用をただの掛け声ではなく、組織の仕組みに落とし込んでいます。
制度設計にメスを入れるのはハードルが高いという企業も多いですが、現場でのAI活用実績が増えていくことで、現場から「こんなに使っているのだから評価にも反映してほしい」という声が上がってきます。その声を追い風にして、制度設計まで着手できれば、AIトランスフォーメーションの成功は近いと言えます。
このように、AI時代における「人材価値の二極化」は、企業にとって大きなリスクでもありつつ、生産性を飛躍的に向上させる機会でもあります。全社的なAI活用の定着と、成果を適切に還元する仕組みを整えることで、組織の競争力を維持・強化できるでしょう。
グロースXでは、組織全体で「AI学習→実践→議論・シェア」を自走させるための研修プログラムを提供しています。詳細や成功事例は以下の資料請求ページからご覧ください。
※この記事をご覧になってお問い合わせいただいた方には、執筆者の三浦が商談対応をさせていただきます。組織の現状やAI活用に関する具体的なご相談・ご要望など、最新のAI活用事例をもとにお話しいたします。